トップニュース
<平成30年度防衛費 重要施策を見る(5)統幕>
多様化する任務、即応態勢を維持
2018年2月19日更新
北朝鮮の弾道ミサイル発射や東・南シナ海、太平洋への海洋進出を強める中国海軍、そして日本列島に接近するロシア軍機への対応など、周辺国のあらゆる軍事行動に24時間態勢で対処している統合幕僚監部。平成30年度予算案では440億円(前年度比約9%増)を要求し、「多様化する任務をシームレスに対応」できるよう、統合運用能力の向上を主眼に、30年度も日米共同を含む各種統合訓練を実施し、3自衛隊の即応性、精強性を高めていく計画だ。
北朝鮮の弾道ミサイル対処では、宇宙からの警戒監視システムなども持つ米軍とデータリンクで情報を共有し、ミサイル発射から飛翔、そして着弾までの対処要領を海・空自の防空システムと連接させて演練する。一方、島嶼防衛では、陸自に新編される「水陸機動団」を中心に統合水陸両用作戦訓練を行い、米軍との共同対処能力を高める。
タイで行われる多国間演習「コブラ・ゴールド」に今年は統幕と3自衛隊から隊員約150人を派遣し、「在外邦人等保護措置訓練」や人道支援・災害救援(HA/DR)に関する能力を向上させる。
30年度の新規事業としては、防衛省がPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ=民間資金等活用事業)方式で契約している民間船舶2隻を使った海上輸送訓練を実施。緊急事態発生時に部隊や装備品を適時・適切な場所に配置するため、民間船を使っての統合輸送体制を確立する。
防災面では・・・
防衛関連ニュース
YS11FC飛行点検機 同乗ルポ
空の〝電波の道〟を点検
2018年2月19日更新
上空から飛行点検訓練を行うため、入間基地を離陸するYS11FC飛行点検機。左のチェック柄の施設は電波を出して航空機を誘導する「GCA」の施設(写真はいずれも入間基地で)
「TACAN」の点検訓練を終え、YS11FCをバックに記念撮影する飛点隊のクルー。左から米田3曹、偵察航法幹部の柚木幸司3佐、渡邊3佐、純浦3佐、大森曹長、機上整備員の平田雅彦曹長、関口2曹
航空機の安全運航担い半世紀
防衛省・3自衛隊で唯一、航空機が通る〝電波の道〟の点検を担っている空自の飛行点検隊(入間、司令・吉廣敏幸1佐以下約70人)。同隊は今年10月、創設60周年を迎えるが、これまで約半世紀、隊員たちは航空機の安全な運航を支えてきた。このほど、同隊の〝ベテラン機〟であるYS11FC飛行点検機に同乗し、「TACAN(戦術航法装置)」の点検訓練を行うクルーたちの奮闘を取材した。(菱川浩嗣)
「電波の道」の正確さ手動と自動で点検
空にはパイロットしか見ることができない「電波の道」がある。
この道が正しければ、雲があっても、雪が降っていても、飛行機の計器上に運航ルートが現れ、安全に目的地の飛行場に向かうことができる。
空自飛行点検隊の主要な任務は、この「電波の道」が正確に示されているかどうかを点検することだ。
その方式は手動と自動に分かれ、今回のYS11による点検作業は地上にセオドライトオペレーターを配置し、両方式で行われた。作業開始前、庁舎内で機長の渡邉潤一3佐が「入間TACAN飛行点検訓練」の概要を説明する。
「TACANは、航法装置を搭載している航空機に対し、方位や距離を伝えてくれる航法保安無線施設です」この装置が「電波の道」を作る装置の一つであるため、同隊は事前に点検計画書を入間管制隊運用班長に提出した上で、飛行点検任務に従事する。
「入間を出発後、まず基地から約37キロ離れた埼玉県の熊谷基地の鉄塔を目指し、その後、約47キロ離れた伊勢崎市・上武大橋の南端、約69キロ離れた前橋市・利根川鉄橋の西端約74キロの地点で折り返し、基地に戻ります」
入間への帰投の際には172度方向からTACAN進入を行い、経路の点検やローアプローチを行った後、TACANを中心に反時計回りの軌道を描く飛行点検「アライメント・オービット」を行う計画だという。
入間基地を出発 飛行点検訓練開始
午前10時、6人のクルーを乗せたYS11FC160号機が入間基地を飛び立った。
機内には飛行点検装置が並んでいる。機上無線員の米田真士3曹が右側の装置の前で「これより飛行点検任務を開始する」と交信。連絡先は意外にも、・・・
防衛関連ニュース
救難飛行艇「US1A」90号機除籍 岩国基地で記念式典
(2017年12月13日)
2018年2月19日更新
洋上への離着水訓練を行うUS1A救難飛行艇の90号機
最終フライトが無事終了したことを二川31空群司令に報告する宮崎71空司令(手前)。後方はUS1A90号機とそのクルー(12月13日、岩国基地で)
US1Aの最後の機体に花輪を掛ける杉本空団司令官(右)と二川31空群司令
「ありがとう、US1A」
海自唯一の救難飛行艇部隊、31航空群71航空隊(岩国)は12月13日、救難飛行艇「US1A」最後の機体(90号機)の除籍記念式典を岩国航空基地で実施した。
この日の最終飛行をもって約41年間にわたって洋上救難の第一線で活躍してきたUS1Aは全機が除籍され、今後は後継機の同「US2」が任務を引き継ぐ。
式には杉本孝幸航空集団司令官をはじめ、歴代の31空群、71空の司令のほか、同機を開発・製造した新明和工業の関係者ら多数が出席した。
US1A90号機(機長・竹森茂2佐以下14人)は同日午前9時、最終フライトとして岩国基地を離陸、瀬戸内海に面した基地周辺の上空を約1時間飛行。その後、基地隊員らが見守る中、滑走路に着陸、同飛行作業をもって耐用命数の5400飛行時間を迎えた。
名機US1Aの最後のフライトを終えた機長の竹森2佐が宮崎研三71空司令に「飛行作業を終了しました。航空機、異常ありません」と報告。続いて・・・
防衛関連ニュース
「武器等防護」昨年は計2件 防衛省が初公表
(2018年2月5日)
2018年2月19日更新
防衛省は2月5日、平和安全法制で新設された「自衛隊法95条の2」に基づき、自衛隊が2017年に実施した米軍等に対する「武器等防護」の実績が計2件だったことを初めて公表した。内訳は、米軍の艦艇と航空機に対して各1件で、いずれも共同訓練の際に警護した。日時や場所などの詳細は非公表。「武器等防護」は平時やグレーゾーン事態において自衛隊が最小限の武器使用で米軍等の装備を守る新任務。
防衛関連ニュース
蔵王温泉スキー場で6師団が遭難者捜索 山形
(2018年2月5日~6日)
2018年2月19日更新
行方不明者の捜索に向かう20普連の隊員(2月6日、山形県上山市で)
山形県上山市の蔵王温泉スキー場で2月5日、スノーボードをしていた男女2人が行方不明となった。
県警、消防が捜索したが見つからず、同日午後11時35分、山形県知事が6師団長(神町)の清田安志陸将に災害派遣を要請した。
6日午前・・・