昔はキジが普通にいて、身近な存在でした。平地や山地の平原、 農耕地、雑木林、 川辺の草地に棲息して人間と共存してきたのです。
雄は翼と尾羽を除く体色が全体的に美しい緑色をしており、 頭部の羽毛は青緑色で、目の周りに赤い肉腫があります。
この優美な鳥は日本固有の種であり、国鳥に指定されています。
桃太郎のお話などにも登場しますし、勇気があり、 また捨て身で子供を守る母性の強い鳥とされています。 お札のデザインにもなっています。
ところでトキとコウノトリの2種は国内で一旦絶滅してから中国や旧ソ連か ら導入するなど、無理やりでおかしな保存(といよりむしろ復活)でした。
キジは野鳥週間などに盛んに放鳥されていますので、 個体数が激減する可能性は少ないと思われます。つまり絶滅に瀕しているほどでもありませんが、 国際自然保護連合のレッドリスト分類では、「軽度危惧」 の種です。
だからと言ってこのまま成り行きにまかせていて良いのでしょうか 。
鳥獣保護法という法律があって、 何と日本のキジをも「狩猟鳥」に指定しています。
また国鳥が狩猟対象となっているのは、 日本だけというおかしな国です。 現在は雌の捕獲を禁じているだけで、 一日に近縁のヤマドリと合わせて2羽まで撃っていいらしいです。 こうして年間40万羽以上が殺されていて、 少しずつ見かけなくなっていると言われています。
一方で狩猟をする人口は減り続けて老齢化している事実があります ので、それでも減っているということは、 何らか制限を強化すべきと考えます。
国鳥のキジに銃を向けるということは、 日本を撃つことだと思ってほしいです。
さらに大きい問題があります。
コウライキジというキジがユーラシア大陸に広く分布しています。
特徴は雄に首輪のような白い輪があり、褐色部分が多く、 日本のキジより少し大きめです。
飼育が容易なので〝キジ肉〟として売っているのは、 ほぼこのコウライキジだということです。
このコウライキジは、日本のキジとは亜種の関係です。 つまり交配ができるのです。
コウライキジが狩猟目的で放鳥されて野生化し、 これとの交雑が進んでいます。
左の写真がコウライキジで、 右の写真はコウライキジとの交雑と思われる個体です。 こういう交雑のキジを見たくありません。
なお雌はどちらも褐色がかっていて、識別が難しいです。
このコウライキジが狩猟目的で持ち込まれて自然に放たれ、 繁殖しました。
( 北海道と対馬は元から日本のキジがいないためにコウライキジのみ です。)
過去数十年にわたる放鳥によって亜種の淘汰が進んでいます。
日本のキジも厳密に言えば東北地方のキタキジ、本州・ 四国の大部分のトウカイキジ、紀伊半島のシマキジ、 九州のキュウシュウキジの亜種から成るのですが、これら地区ごとの純粋な亜種は既にほぼ絶滅し、 さらにコウライキジとの交雑が進んでいます。
現在では(北海道ではどうか知りませんが) コウライキジの放鳥は行われなくなり、日本のキジ( 外観から多分そう思われるもの)の放鳥が行われています。
大規模な遺伝子調査は行われていません。 既に日本古来の原種を特定することさえ難しいとも言われています 。
いまやるべきこと、 それは環境庁が積極的に日本のキジの保護に乗り出すことです。
トキやコウノトリばかりに力を入れるのでは片手落ちです。
私の対策案として
1.狩猟の期間や制限数をきびしくする。
( 明らかにコウライキジと視認できる以外は禁じるとか)
2. コウライキジは現在棲息する北海道以外では放鳥することを法律と して禁じる。
3.大規模な遺伝子調査を行い、
その調査結果を基に日本のキジとして養殖すべき個体を選別する。
4. 瀬戸内国立公園には島全体が国有地になっている島がいくつもある ので、
その1つを選んで養殖を行っては放します。島はキツネ、 イタチなどを駆除し、
ネコなども寄せ付けないキジの楽園とし、 キジを見たい人だけが上陸できて、
手軽に観察できるスポットにします。
ここで繁殖したキジは全国( 北海道を除く)の山にも放します。
こういう対策もやってほしいです。
対馬には既に中世からコウライキジを移入しているということです 。
また韓国からの訪問者が多く、 韓国の国花ムクゲの種を持ち込んでは撒くという意図的な生物相侵 略が行われています。 種は隠して持ち込めても鳥は持ち込めません。 どんどん日本のキジを放鳥して島の棲息相を逆転してほしいです。
蛇足ではありますが、このようなこともありました。
これは竹島問題で日本の象徴であるキジを惨殺して気勢を上げる韓 国のデモ隊。でもこれは日本のキジではありません。コウライキジと思われますので、 鳥にとってはとんだ災難でした。
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