世襲親王家と側室制度
続き 万世一系を担保してきた側室制度
続き 万世一系を担保してきた側室制度
昭和22年に(1947)に新しい皇室典範が制定されたときに、嫡系
のみに皇位継承権があると明文化され、庶子は皇族の身分が与え
られないことになった。これにより、長らく皇統の維持に寄与して
きた側室制度は法的に禁止された。
昨今になって「側室制度を復活するべきだ」といった声が一部から聞
こえるようになったが、これは二つの視点から現実的ではない。
第一に、国民感情が側室を認めない点が挙げられる。現在のアラブ諸国
と同様に、戦前までの日本では、一般人であっても経済的に余裕が
あれば妾を持つことが社会的に認められており、妾に何ら違和感は
なかった。
なかった。
しかし終戦後は俄(にわか)に妾を悪とし、一夫一婦主義を唱える
キリスト教思想が日本を支配することになり・妾を認めない社会に
変わつたのである。これにより、天皇の側室は国民感情の許さない
ものとなってしまった。
そして第二に、男子禁制の御内儀の復活が困難であることから、
側室制度が担保されないことが指摘できる。
中国の朝廷では男性でも生殖機能を失わせて宦官(かんがん)と
なれば後宮に入り込むことができたが、日本では御内儀で 天皇の秘書
業務をこなしたのは全て女性であり、一切の男性の立ち入りが固く
禁じられてきた。中国では宦官に権限が集中することで政治腐敗を招き、
幾つも王朝が滅亡してきたが、日本は宦官制度を採らなかったために、
そのような弊害を生じることがなかった。
もし御内儀に男性が入り込んだ場合、妊娠した局の父親が 天皇で
あることが担保されなくなり、皇統は保証されないことになる。
そのため御内儀は男子禁制となっていて女官が妊娠した場合は
間違いなく 天皇の子であると断定できるからである
。
。
このように、側室制度は御内儀の存在により担保されてきた。
御内儀が解体された現状では、側室が身ごもつて其の子の父親が
天皇であることが担保されず、側室制度本来の成立条件を満たさない。
また明治期までと同様の御内儀を復活させることは、あるいは
側室制度の復活以上に国民感情の反発が予想されるため、側室制度の
復活は現実的でないと結論せざるを得ない。
復活は現実的でないと結論せざるを得ない。
しかし、側室制度の復活は困難としても、皇后を複数立てる方法で
あれば御内儀を復活させる必要はない。だが、この方法も現在では
違和感を覚える人が多いと思われる。したがって側室制度と複数の
皇后を立てる制度の復活が望めない現在は、別の手段、つまり
皇族を充実させて傍系からの即位を可能にする方法を強化し、
皇統の維持を図らなければならないのではないだろうか。
竹田恒泰著 「皇族たちの真実」より
竹田恒泰著 「皇族たちの真実」より