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アパレル産業を例に、世界の工場中国の実態Ⅰ(現場の証言)

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アパレル産業を例に、世界の工場中国の実態Ⅰ(現場の証言)

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    (中国で行われたファッションショー)


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 御来訪感謝申し上げます。
 今日は久しぶりに不肖敬天愛人の本業に関連したお話を記事としてエントリーさせていただきます。



 私は元々父親の代からアパレル関連の仕事を生業としていたので、アパレル生産工場を主な取引先としています。
 アパレルというとカッコイイのですが、誰でも分かりやすく表現すると縫製工場のことです。

 女性の皆さんはオンワード樫山やワールド、ファイブフォックスなどの超一流のブランドメーカーは良くご存知のことと思います。
 他にもたくさんメーカーはありますがアパレルの特徴として、メーカーという名を持ちながら自社で生産している企業はほとんどありません。
 クルマでいえばトヨタはメーカーでありますが、勿論自社で生産するかクルマの種類によっては100%子会社に生産を移管しているのが実情です。
 クルマだけでなく他の業界も同じです。
 つまり、自社のブランド製品は自社及び自社関連企業の製造部門で作っているということです。
 しかし、昔からアパレル=繊維産業は自社で生産部門を持っていませんでした。一部特殊なブランド製品(超高級品)は自社内の自家工場で作る場合もありますが、そういう例外を除いてはほとんどの製品をOEM(相手先ブランドによる委託生産)生産を主事業としている、いわゆる外注企業(=縫製工場)に生産を委託しています。
 経済用語で“川上から川中、川下へ”という言葉がありますが、“川上”とはそういう外注企業(=縫製工場)であり、“川中”とはブランドメーカーと縫製工場の仲立ちをする専門商社(縫製工場の生産を確保するための営業)であり、“川下”とはブランドメーカーのことであります。
 当然、今では“川中”を省いた例も多く存在します。
 これはどういう事かと言うと、日本の場合、特にファッション業界ほど流通の仕組が複雑な業界はないのだ、ということから説明をしないと御理解いただけないと思います。
 ご承知のように衣料品を買うには、今ではカジュアルなどの低価格品はスーパーやカジュアル専門店、高級品は百貨店や専門店(=洋品店・ブティック等)で買い求めることになります。
 以前はスーパーやカジュアル専門店はありませんでしたから、どうしても百貨店や街の洋品店等で買い求めるしかありませんでした。
 しかし、百貨店はまだしも洋品店(ブティック)にブランドメーカーが直接製品を卸すのは代金回収等のリスクを伴うため、さらに間に卸問屋が介在したりしてますます流通経路が複雑なものとなりました。
 例えば、比較的高級レベルのある婦人服を例に取ると、この婦人服の1着あたりの原材料費は500円、これを縫製工程に入れると工賃が約5,000円、“川中”の商社が在庫リスクも含めてのマージンが10,000円、ブランドメーカーのマージンが20,000円、卸問屋のマージンは10,000円で末端の販売店に入る段階ですでに45,500円です。
 これがいわゆる『下代』であります。
 この下代に対して百貨店やブティックなどの販売店は“下代の3倍掛け”をするのが業界の常識ですから、お客様向け販売価格のいわゆる『上代』は136,500円となります。
 これが高級品ブランドの価格構成の中身を解体した実情なのです。
 ここでお分かりのように、製造原価はわずか5,500円であります。
 それが複雑な流通経路を辿って行くウチに136,500円に化けてしまうのです。
 なぜこのようなトンでもない価格になってしまうのかというと、製造部門から旅立った製品はその流通過程においてすべて『買取』されるからであります。「売れた分だけ仕入れるよ」というのではなく、売れても売れなくてもある決まった数量は買い取るよ、というリスクを分担させる流通構造だからなのです。
 ここの中で一番リスクを問われるのが、末端の販売店なのです。
 上代136,500円でも、決算期が近くなっても売れ残り在庫となる場合は帳簿上は資産になる在庫でも実質的には赤字在庫と同じですから、上代から大幅に値引きしても販売しないと不良在庫となるわけですから、『下代』を割らない範囲で値引きして販売するのです。
 これが、上代136,500円の製品だけど半額にしますよ、というからくりです。半額の68,250円であれば仕入れ価格(下代)は45,500円ですから22,750円の粗利は得られます。
 このような流れが高級衣料品の流通の流れなのです。
 
 そうすると、製品の企画から生産計画を立てるブランドメーカーは少しでも製造コストを落とそうとします。
 何故なら、原材料費の500円は品質を確保するためにも問題無しなのですが、縫製工賃の5,000円は大半が人件費であります。
 これを中国に持って行くと約20分の1の250円の工賃で済みます。
 5,000円→250円になるのですから、大量に生産する場合中国から日本への船賃を考えても知れたものです。
 この差額4,750円がブランドの儲けになる訳であります。
 因みに4,750円といっても10万着単位で作る場合4億7,500万円の差額となります。
 日本国内で作れば縫製工賃だけで5億円かかりますが、中国に委託すれば2千500万円で済むのです。
 これをスケールメリットと言います。
 ちなみに、仮に同様な製品をユニクロが取り扱うとした場合どうなるかを、シュミレーションしてみます。
 当然、カジュアル志向のユニクロがこういう高級品を作ることはありませんが、現実的には可能でありますので、ひとつの参考例として挙げてみます。
 ユニクロの場合はカジュアル専門で原材料も中国で調達していますから同様の製品を作ろうとすると、原材料費25円、工賃250円で製造原価275円になります。
 勿論、ブランド価値や品質の問題が生じますから一概には比較できませんが、工場と直接契約及び直販店での販売ですから、高く見積もっても3~4,000円程度が上代になろうかと思います。
 ここにユニクロビジネスモデルの真骨頂があるのです。
 つまり、自社で流通経路をカットした直接の販売市場を持っている者の圧倒的な強みであります。
 ただし、最初に御紹介した製品はオンワード樫山などの大手が扱う高級ブランド製品です。特にファッション製品の場合はブランド価値がその製品の実質的なコストパフォーマンス(付加価値)を決定付けますから、ロールスロイスとマツダのクルマを比較対称する次元の話でもあります。
 
 ここまで説明して来たのは、今日の記事の本旨を御理解いただくための前説に過ぎません。
 実は今日、仕事でお邪魔したアパレル工場で非常に興味深いお話を伺って来たので御紹介させていただきます。

 この企業さんもやはり、国内の大手ブランドメーカーのOEM工場として幅広く事業活動を行っている事業所であります。
 現在は中国の上海などの沿岸部に2箇所の生産部門(工場)を持ち、オンワード樫山、イトキン、ワールド等々の超一流ブランド製品を生産しています。
 ユニクロなどのカジュアル製品のメーカーのモノを扱う工場は同じ中国でも内陸部の物価も人件費もさらに安い地域で作られていますから、他の先端産業に伍して沿岸部で事業展開しているということは、いわゆる中国にありがちな「安かろう悪かろう」の製品ではなく「高かろう良かろう」の製品を生産しているということです。

 しかし、様々な先端産業に比べてとかく貶められている“ローテク産業”でありながら、堂々とした事業展開を可能にしている理由と秘訣についてのお話が日本人に希望と勇気と自信と誇りを与えてくれる話なので、ぜひ皆様に御紹介したいと思います。
 しかしながら、字数制限に掛かりますので次回に続かせていただきます。
 次回は、労働集約型産業であるアパレルを題材とした、世界の工場中国における現場からの製造業の実態について、日本をこよなく愛する皆様に喜んでいただけるお話をさせていただきます。


  シナ人は日本人が管理しないと何も作れない!!

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