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25年度防衛費 重要施策を見る <1>全般

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2/7日付
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25年度防衛費 重要施策を見る <1>全般

 政府は1月29日、一般会計総額92兆6115億円の平成25年度予算案を閣議決定した。政府は同予算案を2月下旬に国会に提出し、5月の大型連休前の成立を目指す。このうち、防衛関係費は24年度当初予算比400億円(0・8%)増の4兆7538億円(SACO関係経費を除くと前年度比351億円増の4兆6804億円)となり、11年ぶりの増額となった。自衛官の実員も8年ぶりプラスの287人を増員。東シナ海での活動を活発化させる中国の艦艇や航空機による領海・領空侵犯や北朝鮮の核・ミサイル開発などを受け、南西防衛にシフトした予算編成となった。今号の「全般」以降、「陸」「海」「空」「統幕」「研究開発」についてそれぞれ重要施策を展望する。

11年ぶり増額、8年ぶりの増員 南西防衛にシフト

 領空侵犯した中国機
 昨年12月13日午前11時6分、尖閣諸島魚釣島付近の蒼空。小型プロペラ機がはうようにして現れた。中国国家海洋局所属の「Y12」だ。高度約60メートルの低空で付近を旋回。約4分間、日本領空を侵犯して飛び去った。

 海上保安庁の連絡を受け、空自F15戦闘機8機とE2C早期警戒機1機がスクランブル。が、時すでに遅く、中国機は離脱していた。中国機による初の領空侵犯を許した。
 同日、記者会見に臨んだ岩統幕長からは衝撃的な一言が発せられた。
 「自衛隊のレーダーでは捕捉できなかった」――。
 藤村官房長官(当時)は記者会見で「尖閣は空自の地上固定レーダーがある沖縄本島、久米島、宮古島から相当の距離があり、探知は困難」と説明した。
 日本の防空網に穴があることが露呈された。
 こうした事案を背景に、今回増額分の事項要求の中に、沖縄県の宮古島分屯基地(53警戒隊)の現有レーダーを、最新の固定式警戒管制レーダー「FPS7」に換装することが決まった。安倍新政権のスピーディーな対応が反映された。
 「FPS7」は現有レーダーに比べ、より小さいレーダー反射断面積(RCS)や、より遠方の目標を早期に捕捉できるのが特徴だ。25年度は宮古島のほか、宮崎県の高畑山(13警戒群)の換装も決まった。
 もちろん、ステルス機まで見透かせるというわけではないが、「FPS7」へは24年度予算で初めて沖永良部島分屯基地(55警戒隊、鹿児島県)の換装が始まったばかりで、南西警戒網の充実に向けた第一歩といえる。
 一方、陸自は与那国島への沿岸監視部隊の配備計画に伴い、新規に沿岸監視装置を取得するほか、水陸両用車4両を参考品として新規購入する。導入が検討されているのは米軍の装甲兵員輸送車「AAV7」で、災害派遣活動での運用を視野に入れながら島嶼防衛を強化する考えだ。
 また、北朝鮮の弾道ミサイル発射などを踏まえ、今回初めて「宇宙状況の監視」が掲げられたことは注目点だ。
 これに伴い、弾道ミサイルを探知するのに有効なアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーを備えた固定式警戒管制レーダー「FPS5」の能力向上を図る技術検証も行われる。BMD対処のほか、人工衛星等の探知、追尾などが目的だ。
 「FPS5」は現在、下甑島(9警戒隊、鹿児島県)、与座岳(56警戒群、沖縄県)、佐渡(46警戒隊、新潟県)、大湊(42警戒群、青森県)の各レーダーサイトで運用されている。
 防衛省は概算要求で24年度当初予算比1000億円超の増額を要求したが、財務省はこれを大幅に縮減した。
限られた予算の中では、国の骨幹装備品をしっかり要求していくことは難しい。平成25年度予算案は、まずは機体の改修や機齢・艦齢の「延命」措置を図りつつ、「今そこにある危機」に即応し、将来に一歩を踏み出した。
 (日置文恵)
 

2/7日付
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25年度防衛費政府案・詳報

25年度予算の考え方

 「平成25年度の防衛予算の編成の準拠となる方針」(平成25年1月25日安全保障会議決定・閣議決定)に基づき、防衛力整備を着実に実施
1 考慮すべき環境
 我が国周辺の安全保障環境については、北朝鮮が引き続き核・弾道ミサイルの開発を推進し、地域の重大な不安定要因であり続けているほか、周辺国による軍事力の近代化及び軍事的活動の活発化が継続している。また、最近の中国による領海侵入及び領空侵犯を含む我が国周辺海空域における活動の活発化については十分に考慮する必要がある。さらに、東日本大震災という未曽有の大災害の経験により、大規模災害に対する備えの重要性が改めて認識されている。
 また、財政事情については、「平成25年度予算編成の基本方針」(平成25年1月24日閣議決定)において、「平成25年度予算は、緊急経済対策に基づく大型補正予算と一体的なものとして、いわゆる「15ヶ月予算」として編成する」、また、「財政状況の悪化を防ぐため、民主党政権時代の歳出の無駄を最大限縮減しつつ、中身を大胆に重点化する」こととされていることに配慮が必要である。
2 基本的考え方
 平成25年度においては、「1 考慮すべき環境」に示した我が国周辺の安全保障環境を踏まえ、以下の事項を重視しつつ、我が国の領土、領海、領空及び国民の生命・財産を守る態勢の強化に取り組む。
 (1)各種事態への実効的な対応及び即応性の向上
 南西地域を始めとする我が国周辺における情報収集・警戒監視及び安全確保に関する能力、島嶼(しょ)防衛のための輸送力・機動力・防空能力、サイバー攻撃や弾道ミサイル攻撃への対応能力の向上に重点的に取り組む。また、かかる任務等の遂行に不可欠な情報機能や指揮通信能力を強化するとともに、装備品の可動率の向上等の即応性強化のための施策を推進する。
 さらに、大規模自然災害や特殊な災害に際して、国民の生命・財産を守るため、東日本大震災の教訓を踏まえた自衛隊の災害対応能力を強化する。なお、自衛官の定数については、現大綱の見直し等の結論を得るまで変更しないこととする。
 (2)日米同盟の強化
 我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増していることから、「日米防衛協力のための指針」の見直しの検討を含め、日米防衛協力の実効性を更に強化するための施策を推進する。
 米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄県を始めとする地元の負担軽減を図るため、普天間飛行場の移設を含む在日米軍の兵力態勢の見直し等についての具体的措置を着実に実施する。
 (3)国際的な安全保障環境の一層の安定化への取組
 アジア太平洋地域を始めとする国際的な安全保障環境の一層の安定化を図るため、人道支援・災害救援その他の分野における各種協力、二国間及び多国間の対話等を更に推進する。
 また、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散防止、テロ・海賊への対処、国連平和維持活動等の活動に主体的かつ積極的に対応するため、自衛隊による国際活動基盤の強化等に取り組む。
 (4)効果的・効率的な防衛力整備
 厳しい財政事情を踏まえ、現下の安全保障環境における喫緊の課題への対応に重点的に取り組むとともに、精強性向上の観点から自衛官の階級・年齢構成の適正化など人的資源の効果的な活用を図るほか、装備品等の効率的な取得のための取組を推進する。
 特に、ライフサイクルコストの抑制を徹底して費用対効果を高めるとともに、昨年の調達に係る不適切な事案を踏まえ、調達プロセスの透明化及び契約制度の適正化を推進する。
 平成25年度防衛予算案が1月29日の閣議で決まった。主要項目と金額は次の通り。金額は契約ベース、薄緑部分は新規事業。

Ⅰ 各種事態への実効的な対応及び即応性の向上

1 各種事態に対応する即応性の向上
 任務等の遂行に不可欠な情報機能や指揮通信能力を強化するとともに、装備品の可動率の向上等の即応性強化のための施策を推進する。
 (1)自衛隊の充足

南西地域における情報収集・警戒監視や安全確保に万全を期すため、計287名の自衛官を増勢し、部隊の即応性を向上させる。
 (2)十分な維持修理費等の確保による装備品の可動率の向上

○修理費等の確保による護衛艦、哨戒ヘリコプター(SH60J/K)等の運用拡大(97億円)
 早期警戒管制機E767
○早期警戒管制機(E767)及び早期警戒機(E2C)の運用拡大を支えるための燃料費、修理費、通信維持費等の確保(135億円)
○可動率の向上等に資するPBL※の導入(46億円)
装備品等の維持整備に係る成果の達成に応じて対価を支払う新たな契約方式(PBL)の導入を推進するため、航空自衛隊のT7用部品及びF15用F100エンジン用部品の一部を対象に実施
※PBL(PerformanceBasedLogistics) メンテナンスの作業量に応じた対価を支払うのではなく、可動率や安全性、修理時間の短縮、安定在庫の確保といった装備品のパフォーマンスの達成に対して対価を支払う企業との契約形態
 (3)教育訓練の充実
①各種事態等への対処能力向上に資する訓練
○自衛隊統合演習(実動演習)(統幕)=統幕から部隊レベルに至る統合運用能力等の維持・向上のため、実動演習を実施
○方面隊実動演習(陸自)=島嶼防衛に係る海・空自衛隊との連携要領等の訓練を実施
○協同転地演習(陸自)=長距離機動能力を高める訓練を実施
○米国・国内における米海兵隊との実動訓練(陸自)=島嶼防衛に係る実効的な作戦遂行能力・共同連携要領等の相互運用性を向上させるため、部隊を派遣し実戦的な訓練を実施
※上記の訓練はいずれも、島嶼部への迅速な部隊展開及び対応能力向上に資する。
○海上自衛隊演習(海自)=海上自衛隊の戦術技量のみならず日米の相互運用性(インターオペラビリティー)及び日米共同対処能力の維持・向上のため、日米共同による訓練・演習を実施
○日米豪共同訓練(コープノース・グアム)(空自)=航空自衛隊の戦術技量及び日米共同対処能力の維持・向上のため、米国グアムにおいて米空軍及び豪空軍との共同訓練を実施
②警察・海上保安庁との共同訓練
○治安出動に係る警察との共同訓練(陸自)
○不審船対処に係る海上保安庁との共同訓練(海自)
③国際平和協力活動等に関する教育・訓練等
○国際平和協力活動に携わる要員を確保する課程教育の実施(統幕)
○多国間訓練への参加(統幕)=コブラ・ゴールドなどの国連平和維持活動等に関する多国間訓練
2 領土・領海・領空の防衛
 
 
 

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