2012-12-07
夏淑琴さん事件の怪![Comments Comments]()
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かつて日本は美しかった誇りある日本、美しい日本へ
昭和12年(1937年)12月の支那事変南京戦で13日に日本軍が南京城内へ入り掃討戦を開始しました。このとき、日本兵に家族らをレイプされ、殺害されたとして、生き残った当時8歳の夏淑琴(か・しゆくきん)さんが証言しています。この話に疑問を持った亜細亜大学教授の東中野修道氏が疑問を著書に書いたところ、夏さんから名誉毀損で訴えられ敗訴しています。
「12月13日、約三十人の兵士が南京の東南部の新路口五のシナ人の家にきて、中に入れるよう要求した。
玄関を、マアという名のイスラム教徒が開けた。すると、ただちに彼らはマアを拳銃で殺した上、もう誰も殺さないでと、マアの死体に跪いて頼むシアさんをも殺した。なぜ夫を殺したのかとマアの妻が尋ねると、彼らはマアの妻をも殺した。
シアの妻は一歳の赤ん坊と客間のテーブルの下に隠れていたが、そこから引きずり出された。そして、一人かもっと多くの男たちから裸にされ、強姦された後、銃剣で胸を刺されて殺された。その上、陰部に瓶を突っ込まれ、赤子も銃剣で殺された。(中略) それから二人の少女が裸にされた。上の少女は二、三人に強姦され、下の少女は三人に強姦された。その後、上の少女は刺されて陰部に茎を詰め込まれた。下の少女も銃剣で突き刺されたが、母や姉の受けたぞっとするような扱いは免れた。(中略) その八歳の少女は傷を負った後、母の死体のあるとなりの部屋に這って行った。無傷で逃げおおせた四歳の妹と一緒に、この子はここに14日間居残った。この二人の子供はふかした米を食べて生きた」
夏さんは12月27日に老女性に発見され、救出されました。事件の時刻ですが、本多勝一氏の「南京への道」で、夏さんへの取材により事件は「9時ごろ」だったという証言が得られています。よくこのことでネット上で日本軍はまだ現場に到達しておらず、犯行は不可能だったという主張がみられます。事件は中華門付近ですから、この地域は第6師団第19、23、47、13連隊、第114師団となります。データベース「南京事件のすべて」で調べてみます。
「歩19は10時頃光華門より城内に進入、東南部を掃討、通済門西側地区に兵力を集結した。(南京戦史)
「13日歩13は午前7時工兵隊が仮設した橋を渡って城内に侵入」(鵜飼6D通信小隊)
「歩47も13日午前中に約一個大隊を城内へいれて、掃討を始めた」(熊本兵団戦史中巻)
「6師団歩47の攻撃目標は中華門とその西、10時ごろ一個大隊を城内に進入。夕刻主力は三里店附近に集結」(6D戦時旬報)
「歩23は13日8時城壁西南角を突破城内に進入、14時30分清涼山に達した。Ⅲ(大隊)は城壁に沿い、Ⅱはその東を北進、水西門を攻撃」(南京戦史)
第114師団の入城時刻は不明ですが、夕刻まで中華路以東の掃討を完了(南京戦史)しています。日本軍は早くから中華門付近に進入しており、充分犯行は可能です。しかし、掃討戦の初っ端で敵がどこにいるかわからない状況で一々民家に入り込んで強姦や殺人をやるでしょうか。死体の性器に瓶や棒を突っ込んでいますが、これは通州事件に見られた通り、支那人の虐殺でよく見られるものです。
これらはずっと疑問でしたが、松村俊夫氏の「南京虐殺への疑問」を読んで大きなことを見落としていることに気づきました。米国大使館フォースター書記がマギーが聞き取りした内容を文書に記していますが、女性の局部に棒が突っ込まれているのをみて、ドイツ大使館の大の日本嫌いであるローゼン書記官が「あれが、日本兵のやり方さ」と言ったと書いています。夏さんが発見された12月27日の現場にローゼンが居たというのです。念のためラーベの日記を読み返したところ、ローゼンは南京陥落前に脱出し、翌年1月9日に南京に戻ってきています。12月27日には南京にいなかったのです。
さらに、ラーベ日記の1月29日に以下の通り書かれています。
「マギーが八歳と四歳の少女を見つけた。親族は11人だったというが、残らず残忍な殺され方をしていた。近所の日ちびとに助け出されるまでの14日間、母親の亡骸のそばにいたという話だ。姉娘が家に残っていたわずかな米を炊いて、どうにか食いつないでいたという」
念のため安全区の記録で夏さん事件を著した第219件の前後を確認すると、第218件が1月31日、第220件が1月30日の出来事を記しています。ラーベ日記の29日が当日に記録したものだとすると事件は1月15日あたりで発生したことになります。12月13日ではなかったのです。
参考文献
展転社「『南京虐殺』への大疑問」松村俊夫(著)
朝日文庫「南京への道」本多勝一(著)
展転社「南京事件の核心」冨澤信繁(著)
データーベース「南京事件のすべて」冨澤信繁(制作)
講談社文庫「南京の真実」ジョン・ラーベ(著) / エルヴィン・ヴイッケルト(編)/ 平野 卿子(訳)
河出書房新社「日中戦争資料<9>」洞富雄(編)
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