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平成30年度空自緊急発進 過去2番目の999回
2019年4月19日更新
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対中国軍機64%、露軍機34%
統幕は4月12日、平成30年度(平成30年4月1日から31年3月31日)の空自戦闘機による「緊急発進(スクランブル)」実施状況を発表した。
30年度の緊急発進回数は、29年度に比べ約1割増の「999回」で、過去最多を記録した28年度(1168回)に次いで過去2番目に多かった。領空侵犯はなかった。
このうち対中国軍機の発進回数は前年度比の約3割増となる「638回(全体の約64%)」で、国籍別の統計が発表されている平成13年度以降、2番目に多かった。
中国軍機の飛行は、沖縄本島と宮古島間の宮古海峡を通過する事例が目立ち、その数は・・・
防衛関連ニュース
東アジア戦略概観2019 防衛研究所編 概要
2019年4月19日更新
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第1章「インド太平洋」概念とオーストラリア・インド
オーストラリアとインドは、米国のアジア回帰(リバランス)政策の中で、「インド太平洋」の客体とされたが、その後、主体的にインド太平洋概念の形成に関わってきた。両国には、通商ルートとしてのインド洋の重視、中国に対する経済的依存、「ルールに基づいた秩序」原則の重視、の三つの共通点がある。
一方、米国のパワーの相対的低下に対する認識は大きく異なり、オーストラリアが米国のプレゼンス低下を不安視するのに対して、インドは米国の秩序維持責任を分担する機会ととらえている。総じて両国の「インド太平洋」概念は、対中関係と対米関係とを、自国の利益を損なわないように管理、調整しようとする試みに根差しているものと考えられる。
オーストラリアの「インド太平洋」概念は、米国中心の地域秩序の終焉(しゅうえん)という認識と、米中間の戦略的競争と協調への対応の必要性を背景としている。既存の2国間・多国間合意をめぐるドナルド・トランプ政権の行動は、オーストラリアの懸念を高めている。米豪防衛協力は、既定路線どおりという意味で順調ではあるが、トランプ政権発足後、新たな協力強化のイニシアチブは発表されていない。
一方、中国との関係は、南シナ海問題、中国の対オーストラリア・インフラ投資の加速、国内政治への介入などで悪化しており、オーストラリアはあらためて対中関与の難しさを学びつつある。
米中両国との関係維持や発展に困難が伴う中で、オーストラリアは米中以外の「インド太平洋」諸国との連携を強化するネットワーク外交を模索している。
インドの「インド太平洋」概念は、「インド洋地域」における安全保障提供者としての自己認識と米国からの認知を背景としている。自身の利益圏であるインド洋に2000年代半ば以降に参入してきた中国に対抗するために、インド洋西側の島嶼国では、自国主導の能力構築と枠組み形成を進めている。
一方、インド洋東側では、東南アジア諸国連合(ASEAN)の連携を強化すべく文化的紐帯(ちゅうたい)と価値の共有を強調する価値観外交を展開している。
第2章 中国 第2期習近平体制の始動
2017年10月18日に開催された中国共産党第19回全国代表大会(以下「19回党大会」)において、習近平氏は中国共産党総書記、党中央軍事委員会主席に再任された。そして19回党大会終了後に発表された新たな中国共産党の党規約には、「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」が、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、小平理論、「三つの代表」の重要思想、科学的発展観と同列に党の行動指針に盛り込まれた。
自らの名前を冠した指導理念が党規約に盛り込まれたことに示されるように、習近平主席は19回党大会で自らの政治的権威と指導力を大幅に高めることに成功したものと評価されている。
他方、①「治国理政」などの独自の統治理念を行動指針とすることができなかったこと、②政治局常務委員における「七上八下(67歳以下は留任、68歳以上は引退)」という慣例を打破できなかったこと、③「党主席制度」を復活できなかったことから、習近平主席はいまだ絶対的な権力基盤を確立したわけではないとも評価されている。2018年はこうした第2期習近平体制が本格的に始動した1年であり、その焦点は、習近平主席が内政、外交、国防などの分野でどのようなイニシアチブを発揮するのかという問題に収斂(しゅうれん)されていた。
内政では、習近平主席がいかにして権力基盤の一層の強化を図るのかという点が最も注目された。習近平主席は、人事、憲法改正を含む党・国家の制度組織改編、反腐敗闘争の三つの手段を通じて、党内での権力基盤の強化を目指した。外交では習近平主席は自らのイニシアチブを発揮し得る指導体制を構築した。しかし、中国外交にとって最重要課題である米中関係が、台湾問題、南シナ海問題、経済摩擦問題をめぐり悪化した。習近平政権は、日本を含む周辺国との関係や、発展途上国との関係を強化し、外交的地平を拡大することで、こうした危機的状況を打開しようとした。国防政策では、習近平中央軍事委員会主席が進めてきた国防・軍隊改革(軍改革)の進展、新たな軍事訓練体制における実戦を想定した訓練の積極的な実施、ロケット軍・海軍・空軍の装備面での着実な近代化の達成などに関心が寄せられた。
第3章 朝鮮半島「非核化」交渉の行方
朝鮮半島の「完全な非核化」をうたう南北首脳による「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」(以下「板門店宣言」)の直前、北朝鮮の労働党中央委員会は核兵器の運用継続を前提とするドクトリンを確認する決定書を採択した。それによれば、核実験場の廃止は「・・・
防衛関連ニュース
東シナ海で日英艦艇「瀬取り」監視で連携
2019年4月19日更新
「モントローズ」「おうみ」が連携
英国防省は4月5日、「英艦艇が北朝鮮の制裁回避を確認」と題したプレスリリースを発表し、英海軍フリゲート「モントローズ」が3月2日未明、海自補給艦「おうみ」と連携して東シナ海の公海上で北朝鮮船籍タンカー「SAEBYOL(セビョル)号」による違法な「瀬取り」の発見、追跡に成功したことを明らかにした。防衛省が5日、英側の発表をホームページ上で紹介した。「セビョル号」については防衛省が3月28日、「瀬取り」12件目として公表しているが、日英艦艇の具体的連携が両国から発表されるのは今回が初めて。
英国防省のプレスリリースによると、「モントローズ」のチームは、「セビョル号」が船籍不明の小型船舶に横付けし、制裁逃れの密輸目的で物資を積み替える「瀬取り」の現場の証拠写真を収集し、当該情報を国連に報告した。
ウィリアムソン英国防相は「英海軍の昨年来の東アジアにおけるプレゼンスは、北朝鮮への・・・
防衛関連ニュース
広島、静岡、長野、福島 4県5カ所で
山林火災 陸自ヘリが空中消火
(2019年4月4日~10日)
2019年4月19日更新
山林火災の消火活動のため、バケットを用いて給水後、災害現場へ向かう3飛行隊(美保)のCH47ヘリ(4月5日、広島県呉市の蒲刈町近傍の海上で)
4月4日から10日にかけて広島、静岡、長野、福島の4県5カ所で相次いで山林火災が発生し、各県知事からの要請を受けた陸自の災害派遣部隊がヘリによる消火バケットを使った空中消火を行った。いずれも事後、自治体で対応可能となったことから部隊は撤収要請を受け活動を終了した。
4日に広島県呉市で発生した山林火災では翌5日午前7時、知事が13旅団長(海田市)に災派を要請。中方航(八尾・美保)のCH47ヘリなど計5機が同日午後6時過ぎまで活動し、散水回数118回、散水量は約590トンに上った。
静岡県浜松市の山林火災では5日午後6時20分、34普連長(板妻)に知事から災派要請があり、翌6日午後2時半までヘリ団(木更津)のCH47ヘリなど計5機が出動して19回、約95トンを散水した。活動人員はLO(連絡幹部)や初動対処部隊、支援要員を含め延べ160人を超えた。
一方、長野県佐久穂町では5日に発生した山林火災で同日午後7時すぎ、知事が13普連長(松本)に災派要請。12ヘリ隊(相馬原)のCH47ヘリなど・・・
防衛関連ニュース
宮嶋茂樹さんが防大写真展開催
「防大生の青春像を見に来て」
(2019年4月25日~5月15日)
2019年4月19日更新
防大生の貴重な日常を捉えた写真に見入る来場者(4月9日、銀座キヤノンギャラリーで)
数々の自衛隊写真集で知られる〝不肖・宮嶋〟こと、カメラマンの宮嶋茂樹氏の写真展「防衛大学校の日々」が4月4日から10日まで、東京・銀座のキヤノンギャラリーで開催された。
防大への取材は、構想から学校との交渉を含め約1年半かけたという。写真展会場には、日本人の多くがその存在を知りながらも、足を踏み入れたことのない防衛大学校の実像と、学生たちの1年間を追った迫真の写真が並んだ。
防大生の日常に興味があり訪れたというサラリーマンの柳田明宏さんは「どの写真も防大生が精悍(せいかん)な表情をしていてすごい。一般大の学生とは違う」と語り、中でも新入生が散髪をする写真が印象に残ったという。
同写真展は東京に続き、4月25日から5月15日まで、大阪・中之島のキヤノンギャラリーでも開催される。(日・祝とGW中の4月28日~5月6日は休館)。
宮嶋氏は大阪での写真展に向け、「(防衛に)興味がある方もない方も、防大生の青春像、成長期を見に来てほしい。特に日本の若者に不安がある方は、ぜひお越しください」と話していた。