2012-08-04
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かつて日本は美しかった誇りある日本、美しい日本へ
ニューディリー放送の原爆投下予告は本当か。
昭和20年(1945年)ニューディリー放送
6月2日
7月16日
「昨日、米国ニューメキシコ州アラモゴードで世界最初の原子核爆発の実験に成功致しました」
8月3日
「米軍は来る8月6日、原子爆弾投下第一号として広島を計画した模様です」
8月7日
「米軍は来る8月9日に、広島につづいて長崎に原子爆弾を投下する予定であることを発表しております」
このニューディリー放送は「こちらはニューディリー、ニューディリー放送でございます。信ずべき情報によりますと・・・」で始まる日本語ラジオ放送があったというものです。支那南部の広東にあった第五航空情報連隊所属の黒木雄司陸軍伍長が戦後50年近くたって当時の記録を復元、出版した「原爆投下は予告されていた!」(※1)に書かれています。
原爆情報はトップシークレットです。このニューディリー放送は本当か?
当時日本軍は海外の電波を受信し、情報分析を行っており、陸軍では東京の高井戸に中央特殊情報部を設けていました。大本営情報部の堀栄三中佐が「大本営参謀の情報戦記」に体験を残していますが、この中にニューディリー放送のことは出てきません。
似たような放送にサイパン放送というのがあり、この放送では8月1日に「8月5日、特殊爆弾で広島を攻撃する。非戦闘員は広島から逃げろ」という内容が放送されていました。広島逓信局に勤務していた宮本広三技師がこれを聞いています。それまでの放送には空襲に関する予告があり、どれもピタリとあたっていたといいます。日付が8月5日となっているのはアメリカ時間だからです。ニューディリー放送のほうは日本時間になっています。
これらはOSS(戦略情報局)というCIAの前身にあたる組織によるプロパガンダ放送と思われますが、プロパガンダにはブラックプロパガンダとホワイトプロパガンダがあり、前者は身元を明かさず謀略を持って敵を屈させるためのもので、後者のホワイトプロパガンダは事実を流して敵に心理的動揺を与えるというものです。ニューディリー放送の真偽はわかりませんが、サイパンの放送はホワイトプロパガンダに該当するものでしょう。
ニューディリー放送が8月7日に長崎への原爆投下を予告していますが、二発目の原爆投下の第一目標は小倉です。この点がニューディリー放送の真偽が問われるところです。古川愛哲(著)「原爆投下は予告されていた」によると8月7日に小倉に捕虜が集められたので、この時点で長崎に変更されたと述べています。小倉には弾薬とガス弾を製造する地帯なので、原爆を投下しても誘爆して原爆の効果を正確に測れないというのもあり、原爆を搭載したB29は一旦小倉に突入するも、長崎に落とすことにしたというものです。小倉では爆撃を阻止するために煙幕をはりましたが、これは米内海相が捕虜の集結の件とあわせてアメリカ側に伝えていたとしています。長崎にはイギリス連邦の捕虜が多数おり、原爆機のB29にはイギリス関係者も同乗していたことからも小倉突入はポーズだというものです。もちろんこれは推論です。何も示す資料はありません。小倉突入は3回にわたっており、地上からは1万メートル以上ぶっぱなせる十九式高射砲が炸裂し、ゼロ戦や五式戦が接近してきてましたから、ポーズにしては3回の突入は危険すぎます。古川氏の推論は苦しいでしょう。
鬼塚英昭(著)の「原爆の秘密」にもニューディリー放送の長崎への原爆投下予告について書いていますが、こちらもニューディリー放送を「真」とした推論になっており、小倉の煙幕は前日の爆撃による火災が続いたものとして、それを原爆投下機のB29には教えず、長崎に行くように最初から仕向けられていた、というものです。これもやはり苦しい推論です。
結局のところニューディリー放送の真偽は「不明」です。黒木雄司氏は自己の日記に基づいて本を書いていますが、もととなる日記が公開されていないのも弱点でしょう。
※1 同著は絶版となっており古書も値がはるため、別の文献から引用した。
参考文献
成甲書房「昭和天皇は知っていた 原爆の秘密」鬼塚英昭(著)
立風書房「原爆搭載機『射程内に在り』」NHK広島放送局原爆取材班 久保安夫・
中村雅人・岩堀政則(著)
講談社「原爆投下は予告されていた」古川愛哲(著)
添付画像
原爆投下により焼け野原となった広島(PD)
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