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自衛隊中央病院が「大量傷者受入訓練」
競技場へ向かう客を化学剤が襲い、爆発も想定
(2018年7月7日)
2018年9月18日更新
トリアージや緊急搬送
2020年の東京オリンピック・パラリンピックまであと2年。万が一、その大会中にテロ事件が発生した場合に備え、自衛隊中央病院は7月7日、警察や消防、地元自治体などと協力して「大量傷者受入訓練」を行った。今回は初めて三宿駐屯地前の世田谷公園を使用。「化学剤と爆発物を使った同時多発テロが発生した」というシナリオの下、関係機関が連携して大量傷者のトリアージ(重症度判別)や緊急搬送を行い、複合的な特殊災害への対処要領を演練した。訓練には陸自東部方面隊も参加し、中央病院と朝霞訓練場を結んで負傷者の救出・救護活動を行った。(文・写真 星里美、石川穂乃香)
隊員840人が参加 地域からも100人
中央病院はこれまで、首都直下地震などさまざまな事態を想定した「大量傷者受入訓練」を定期的に行ってきた。平成29年度からは昨今の世界情勢を踏まえ、「テロ・特殊災害」に対する訓練に切り替え、病院と関係機関の連携強化を図っている。今回は「複合的な特殊災害」を想定し、「化学剤」と「爆発物」の2種の災害への同時対処を課目に、連携要領を確認した。
訓練には防衛省・自衛隊から中央病院、東部方面隊、三宿地区所在部隊などの隊員約840人、地域から警察、消防、世田谷区医師会など約100人が参加した。訓練は「競技会場へ向かう観客を標的に化学剤が散布され、同時に近くで大きな爆発が発生。このテロで約100人が負傷した」との想定で始まった。
ドローンで散布 観客が倒れた!
午後1時、世田谷公園内で状況が開始され、徒歩で競技場に向かう観戦客の頭上に突如ドローンが現れた。ドローンは飛行しながら液体を散布し、直後に・・・
防衛関連ニュース
<ビッグレスキュー その時に備える>
第2回 越野修三氏 岩手県
2018年9月18日更新
越野修三 氏
岩手大学地域防災研究センター客員教授 元陸将補
岩手大学地域防災研究センター客員教授 元陸将補
危機を知り、それを具体的にイメージアップ
1 はじめに
陸上自衛隊を平成18年に退職してから岩手県防災危機管理監として、あるいは岩手大学地域防災研究センター教授として、岩手県の地域防災力向上のために係わってきました。これらの勤務を通じて、防災や危機管理に関して感じたことについて述べてみたいと思います。
2 岩手県における防災への取り組み
(1)岩手県の防災対策
平成18年、岩手県に入庁した当時は、防災上の問題意識として「今後30年間に宮城県沖地震が99%の確率で発生する」という状況でしたので、広域的な大規模災害が今すぐにでも起きるという危機感がありました。
平成16年に岩手県が作成した地震津波のシミュレーションによると、津波被害は陸前高田市から宮古市にかけての沿岸南部地域が甚大と予想され、人的被害は1000人を越えるだろうと予想されていました。
この結果から防災対策上の主な課題として、①津波や流木等によって道路が閉塞され、多くの孤立地域が発生し、孤立した住民を救助するための部隊が内陸から進出するのに困難が予想される。②被災地の浸水地域では自衛隊などの活動拠点を設定できないため、救助活動が制約を受ける。③沿岸地域の医療機関は、停電や断水などで医療機能が低下し、負傷者や患者を県外病院へ搬送するニーズが増える。④高速道路などの不通によって、救援物資が不足する――などありましたが、この他にも解決しなければならない課題が山積していました。
これらの課題に対してソフト面の取り組みとして、①オペレーションルームの拡充など、災害対策本部(指揮統制機能)の改革、②災害対策本部を機能させるための訓練を充実、③県庁内に自衛隊(第9師団)の・・・
防衛関連ニュース
平成30年版防衛白書『日本の防衛』概要
2018年9月18日更新
(↑「朝雲アーカイブ」にて大きく掲載しています)
弾道ミサイル防衛(BMD)整備・運用構想のイメージ
第Ⅰ部 わが国を取り巻く安全保障環境
■概観
我が国を取り巻く安全保障環境は、さまざまな課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化してきており、一層厳しさを増している。
その中でも、我が国周辺では、大規模な軍事力を有する国家などが集中する一方、安全保障面の地域協力枠組みは十分に制度化されておらず、依然として領土問題や統一問題をはじめとする不透明・不確実な要素が残されている。
また、領土や主権、経済権益などをめぐる、純然たる平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態が増加・長期化する傾向にある。さらに、周辺国による軍事力の近代化・強化や軍事活動などの活発化の傾向がより顕著にみられるなど、我が国周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因は、より深刻化している。
■米国
トランプ政権は、「米国第一」の統治ビジョンのもと、力による平和を掲げ、軍の再建や同盟の重視などの方針を打ち出している。また、政権発足後1年足らずで「国家安全保障戦略」(NSS)を公表したのを皮切りに、「国家防衛戦略」(NDS)、「核態勢の見直し」(NPR)をそれぞれ公表し、トランプ政権の安全保障・国防戦略の方針を明らかにした。
■北朝鮮
【全般】
北朝鮮は、これまで6回の核実験を実施したほか、2016年以来、40発もの弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、大量破壊兵器や弾道ミサイル開発の推進および運用能力の向上を図るとともに、大規模な特殊部隊を保持するなど、いわゆる非対称的な軍事能力を維持・強化していると考えられる。加えて、北朝鮮は、我が国を含む関係国に対する挑発的言動を繰り返している。
北朝鮮のこうした軍事的な動きは、我が国の安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、地域および国際社会の平和と安全を著しく損なうものとなっている。
【大量破壊兵器・弾道ミサイル】
□核兵器
北朝鮮は、その核兵器計画の一環として、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための小型化・弾頭化を追求しているものと考えられる。
一般に、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための小型化には相当の技術力が必要とされているが、米国、旧ソ連、英国、フランス、中国が1960年代までにこうした技術力を獲得したとみられることや過去6回の核実験を通じた技術的成熟が見込まれることなどを踏まえれば、北朝鮮が核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる。
また、6回目となる17年の核実験の出力は過去最大規模の約160キロトンと推定されるところであり、推定出力の大きさを踏まえれば、当該核実験は水爆実験であった可能性も否定できない。
□弾道ミサイル
北朝鮮は、これまで各種の弾道ミサイルの発射を繰り返してきているが、特に16年来、新型とみられるものを含め、40発もの弾道ミサイルの発射を強行している。
北朝鮮による弾道ミサイル発射の動向については、第一に、・・・
防衛関連ニュース
ジブチで在外邦人保護措置訓練 隊員120人参加
(2018年9月1日~9日)
2018年9月18日更新
治安が悪化した外国から邦人等を警護、救出、輸送することを想定した平成30年度「在外邦人等保護措置訓練」が9月1日から9日まで、自衛隊海賊対処部隊の拠点が置かれるジブチ共和国で行われた。
訓練には陸自の陸上総隊、空自の支援集団などから隊員約120人が参加。軽装甲機動車1両とC2輸送機1機を使い、国内から国外への展開や、現地で邦人等を退避させる一連の行動を演練した。
このほか、ジブチの日本大使館や米軍との連携や調整要領に関する机上訓練を実施した。
防衛関連ニュース
陸自など太平洋地域陸軍管理セミナー参加
HA/DRの取り組み紹介
(2018年8月20日~23日)
2018年9月18日更新
陸自がこれまで培ってきた災害派遣のノウハウを発表する小川清史元西方総監(壇上左から2人目、スクリーン上も)=8月20日、ベトナム・ハノイのメリアハノイホテルで
【陸幕】陸自教育訓練研究本部(目黒)研究部長の永勝彦将補らOBを含む5人は8月20日から23日まで、ベトナムの首都ハノイで開かれた「第42回太平洋地域陸軍管理セミナー(PAMS)」に参加した。
セミナーは「人道支援および災害対応におけるインド太平洋地域での陸軍種間の協力」をテーマに開催され、米陸軍やアジア太平洋地域などの20カ国から参加した実務者(少将から中佐)が発表を行った。
陸自参加者は防衛省・自衛隊の・・・
防衛関連ニュース
北海道防衛局 米海兵隊の実弾射撃訓練を支援
(2018年7月24日~8月18日)
2018年9月18日更新
訓練見学会で米海兵隊(右奥)から射撃に関する説明を受ける報道関係者や地元住民ら(左側)=8月3日、北海道の矢臼別演習場で
地域の安全・安心を確保
【北海道局】陸自矢臼別演習場で8月1日から8日まで、在沖米海兵隊による「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練」が行われ、北海道防衛局は訓練を支援するとともに、地元自治体への迅速な情報提供などを行った。
同訓練は、沖縄県の基地負担軽減のために本土の五つの演習場(矢臼別、王城寺原、北富士、東富士、日出生台)で分散実施しているもので、1997年度に始まって以来、矢臼別演習場での実施は17回目。今回は隊員約240人と155ミリ榴弾砲6門、車両約50両が参加した。
北海道局では、訓練部隊が演習場に到着した7月24日から帰路に就いた8月18日までの間、演習場内に同局の辻吉巳企画部長を長とする約30人態勢の「現地対策本部」を設置。訓練部隊に対する支援や自治体への迅速な情報提供などを行い、訓練の・・・