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志方俊之教授に聞く 2040年見据え防衛力整備を
2017年9月4日更新
日米両政府は8月17日、米ワシントンの国務省で外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(SCC=2プラス2)を開き、共同発表を行った。今回の協議と共同発表の意義について、安全保障問題の第一人者である元北方総監の志方俊之・帝京大名誉教授に話を聞いた。(聞き手・日置文恵、写真・浅野一歩)
日米2+2
――今回の「日米2プラス2」をどう評価するか。
志方教授 米側はトランプ政権発足後の新体制で唯一安定しているティラーソン国務長官とマティス国防長官のコンビ、そして日本側は8月3日に発足した第3次安倍第3次改造内閣の新閣僚の2人(河野外相、小野寺防衛相)という、まさに〝日米初顔合わせ〟の協議となった。
北朝鮮情勢などを含め、率直な意見交換が行われ、タイミング的にも非常に大きな意義があったものと評価している。
特に小野寺防衛相は前回、防衛大臣を務めていた時(2012年12月~14年9月)に、現在の「防衛大綱」と「中期防」の策定に深く関わってきたほか、13年10月の「日米2プラス2」では「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定で米側と正式合意するなど、日米同盟の強化と日本の防衛政策の推進に強いリーダーシップを発揮してきた。
それだけに、今回の協議では、その後の北朝鮮による核・ミサイル開発技術の向上など、安全保障環境の劇的な変化を受けて・・・
防衛関連ニュース
防衛装備庁「新艦艇」調達先を決定 主事業者に三菱重工
(2017年8月9日)
2017年9月4日更新
三菱重工業が提案する「新艦艇」のイメージ
防衛装備庁は8月9日、民間に企画提案を募っていた「平成30年度以降の護衛艦(新艦艇)」の建造について、主事業者を三菱重工業、下請負者を三井造船に選定したと発表した。応募企業3社のうち、三菱重工業は設計建造、関連企業管理、維持整備管理能力で評価が最も高かった。装備庁は今後、所定の手続きを経て同社と「基本設計に係る技術資料の作成」契約を結び、その後、正式に建造契約を締結する計画だ。
コンパクト化と対応力向上の両輪 下請負者は三井造船
「新艦艇」は海自向けの汎用護衛艦で、現有の「あきづき」型DD(5050トン)に比べて小型になる。
装備庁は同艦について、「日本周辺海域の防衛や海上交通の安全確保、国際平和協力活動等を機動的に実施し得る、多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させた新たな護衛艦(新艦艇)」と定義し、「1隻当たり約500億円」の建造費を見込んでいる。
装備庁は今年2月15日から企画提案契約に関する公募を開始し、4月中にジャパンマリンユナイテッド、三井造船、三菱重工業の3社と契約を締結、6月30日に各社から提案書を受領していた。
この後、防衛省内で評価作業に着手し、・・・
防衛関連ニュース
<技術が光る(63)>
エイターナス/ダブルエーホールディングス
被災地に大容量の非常用電池
2017年9月4日更新
空気に触れさせるだけで発電できる非常用電池「エイターナス」(左)とその付属インバーター(右)。同製品でテレビを映すデモンストレーションも披露された(7月28日、東京・江東区の国際展示場で)
2013年、台風「ハイエン」により甚大な被害を受けたフィリピンの被災地に自衛隊の国際緊急援助隊も展開、救援活動に当たった。この時、陸自の先遣隊員は半壊した陸上競技場を拠点に他国軍や国連機関との調整活動に従事した。
ところが停電が続く現地では電力は発電機に頼るしかなく、隊員たちはうなりを上げる発電機のそばでパソコンを開き、防衛省や海上指揮所の護衛艦「いせ」に情報を送り続けた。
こうした被災地での電源として期待されているのが大容量の非常用電池「エイターナス」だ。同電池は韓国EMWエナジー社製で、軍用としても韓国軍や在韓米陸軍が使用しているという。日本ではダブルエーホールディングス(東京都新宿区)が輸入販売している。
空気に触れさせて発電を開始
「エイターナス」は重さ約2.5キロの1次電池で、保存用パッケージから取り出して空気に触れさせるだけで発電を開始。付属インバーター(150ワット)と接続すれば3分後に電力の使用が可能になる。
「他の非常用電池と違い、発電時に燃料や太陽光、水などを必要としません。厳しい現場で活動する自衛官の皆さまにうってつけの製品です」・・・
防衛関連ニュース
<世界の新兵器>
沿岸域戦闘艦「インディペンデンス」(米)
3胴船で甲板下に広い任務区画
2017年9月4日更新
3胴タイプの沿岸域戦闘艦(LCS)1番艦「インディペンデンス」(左)と2番艦「コロナド」(米海軍HPから)
米海軍が建造を進めている沿岸域戦闘艦(LCS)の2種のプロトタイプのうち、もう一つがジェネラル・ダイナミクス社の設計・建造になる「インディペンデンス」(LCS2)級である。LCSとしての基本的なコンセプトは「フリーダム」級(本欄4月27日付)と全く同じであるが、船体はアルミ合金製の3胴船(トリマラン)型で満載排水量約3.200トン、全長127.6m、全幅31.6m、吃水4.3mで、ディーゼルとガスタービン各2基のCODAG方式の約83,400馬力、4軸のウオータージェット推進により最大速力44+ノット、18ノットでの航続距離300マイルとされている。
標準装備は、57ミリ単装速射砲(Mk110)1、11連装対空ミサイル発射機(RIM116 Sea RAM)1、シージラフ3次元レーダー、ICMS戦術情報処理装置、MH60R/Sヘリ2機または同1機と無人機2機など。3胴式のため「フリーダム」級の倍近い幅広の船体で、上甲板下に広大なミッション・ベイ区画を持つ。ここは車両甲板としても使用可能で、船体右舷後部にサイドランプを備えている。半面、RHIBボートなどを直接発進、・・・
防衛関連ニュース
<防衛トピックス> ―海外― 米軍の次期制式拳銃にモジュラー式「P320」 高い安全・整備性
2017年9月4日更新
米軍の次期制式拳銃に決まったシグサワーP320
米国防省はこのほど、米軍の次期制式拳銃に「シグサワーP320」を選んだ。
同銃は2014年に市販された拡張性を備えた最新型のモジュラー式拳銃で、兵士はサイズ、口径、任務などから適した拳銃を選べるようになる。
この結果、現有の「ベレッタM9」のグリップが大きすぎ、扱えなかった手の小さな女性兵士も拳銃を所持できるようになる。
P320のフレームはポリマー製で軽く、海水で濡れても問題なく作動するなど安全性や整備性も高い。さらに暗い場所でも照準できるナイトサイトや消音用サプレッサーなど、さまざまな付属品にも対応する。