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「内定３」「虐待死」…あふれる利己主義者 立命館大教授・加地伸行
もし、会社から採用内定の通知が届いたならば、ただちに就職する会社を決め、そこへお礼と入社後はがんばりますという返事を出す。そして第２、第３の内定通知は、すぐさま辞退の返事をすべきである。
にもかかわらず内定通知が来たあと、順番に承諾の返事を出し、その３社の内、どれを選ぶか、じっくり考えるという。ということは、３社の内、２社は採用計画が狂うのみならず、その２社に採用される可能性のあった学生の就職機会を奪ったことになる。
こんな学生を採用しても、ものの役に立たない。単なる利己主義者を雇うことになるだけではないか。
さらに言えば、大学生の就職率が低いのも、こういった内定による妨害が一因なのではなかろうか。己の内定数を３とか５とかと誇るのは、人間としての資質にどこか欠けるところがある。
つまりは、大学教育を受けたとしても、道徳性を高められなかったということだ。
そうなると、教育の問題というよりも、その人間自身の持つ欠陥の問題であろう。
そういう欠陥例の最たるものは、子の虐待死という行為である。
若者男女がくっついて同棲。やがて子が生まれると男はどこかへ逃げだす。女は再びつまらぬ男とくっつき、今度は己の実子を男とともに虐待して殺す。男は２人とも無職。
これは己だけが幸せになればいいとする利己主義そのものである。
のみならず、反省とか悔恨といった謙虚さなどまったくない。その実例が最近あった。
大阪の寝屋川市において１歳の三女を虐待死せしめた両親（２８歳と２９歳）に対して、去る３月２１日、大阪地裁において裁判員裁判による判決があった。検察による求刑は、両被告ともに懲役１０年であったが、判決はそれを上回る懲役１５年であった。
事件の悪質さからすれば、検察の求刑は軽いと裁判員たちが判断したわけである。
実にすぐれた判断である。その通りだ。軽い求刑しかできなかった大阪地検は、例の検事の証拠捏造事件以来、及び腰になっているのかもしれない。
さて後日、この両親は控訴した。理由は、判決が重すぎるからとのこと。
呆れた。なるほど控訴する権利はある。しかし、この理由は何の反省もないことを示している。
無抵抗の乳幼児に対して犯した罪は、非人間的殺人であり、本来、万死に値する。
真に反省するならば、いかなる罰をも受け入れるべきである。
その反省など全くなくて、重いの、お助けを、軽くに、という利己そのものであり、人間として欠けている。求刑を上回る判決－乱世の昨今にあって、みごとな春光であった。
『論語』里仁篇（りじんへん）に曰（いわ）く
「君子は刑（責任を取る覚悟）を懐（おも）い、小人は恵み（お助け）を懐う」と。
（2012.4.17 産経新聞）
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利己主義者を「人間としての資質にどこか欠けるところがある」と加地先生は指摘されます。
しかも「教育の問題というよりも、その人間自身の持つ欠陥の問題であろう」とも指摘されています。
人間というのは本来、利己的なものでありましょう。
そして、人間が生きていて自分のことしか考えなくなるのは本能的なものかもしれません。
しかし、人間は自分だけが生きているわけではないので、多くの人間が周りにいます。
他人や社会のことを考えずに自分のことばかりで行動していると、必ず他人に迷惑をかけることになり、その他人も自分のことしか考えていない振る舞いをすると、どこかで必ずぶつかることになるでしょう。
争いだらけの日本になってしまいます。
そうならないためにかつて子供の頃から道徳を学んできたのです。他人の痛みを知り、礼儀、良心、信義、正直、勤勉、忍耐、勇気、堪忍、忠孝、規律、公益、そして親に孝行し、祖先を敬い、郷土を愛し、国を愛し、日本人として皇室を尊ぶこと。
このような修身教育を小さなときからきちんと行わないと利己主義の塊になるのは必然であります。
人間がしてよいこと、悪いことは、教えられてはじめて身につくものです。人間が人間らしくなるために必要なのが道徳教育だったのです。
また、平等という名のもと差がつかないことが正しいと勘違いしています。人間には能力に差があるのですから、何かをやらせれば必ず差が出るのは当たり前なのです。
そして、愛国心教育も必要であります。日教組は国旗掲揚、国歌斉唱を否定し、愛国心を高めることは再び日本を戦争に引きずり込むものだと言って愛国心教育を否定していますが、その発想自体が狂っています。愛国心を否定するということは自分が生まれた国、自分が育った国を否定するようなものです。
どうして頭から自分の国を否定しなければならないのでしょうか。
昔から日本の資源は“人間”であり、“人材”であります。
日本には輝かしい立派な先人たちがいたからこそ、アジアはじめ各国から称賛されてきたのです。
自分のことより、他人のこと、社会のこと、国のことを考えていたのが日本人のよきところであり、日本の強さでもあったはずです。お国のために、愛国心などと口にすると変な目で見られるのが今の日本です。しかし、自分のため、自分さえ楽しめれば、と言っても当たり前のことなのです。
我欲は恥るべきものだったはずです。
荒れるにまかせた日本。
本当に大事なものは何か、そろそろ気づいてもいいのではないでしょうか・・・。
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