「永遠の0(ゼロ)」では実在の零戦パイロットが何人も登場している。
その中の一人、坂井三郎氏に今回の記事ではスポットを当ててみる。
「撃墜王」とも言われた日本屈指の名パイロットであり、西沢広義、太田敏夫の3名で台南空の撃墜王三羽烏と呼ばれた。
しかし戦死を免れて生き残ったのは3名のうち坂井だけであった。
「永遠の0」に出てくる宮部久蔵も零戦のエースパイロットであったが、当時を知る身辺の者からの評価は色々であった。
その中でも彼が「臆病者であった」という評価は小説の主人公として、いや、帝国軍人として情けない印象があった。
その「臆病」であったという理由として、零戦に搭乗したときに絶えず周りを気にして、何度も何度も宙返りをし、敵がいないことを確認した様子がある。 その様子が当時の仲間にすれば、滑稽であり、ビクビクしてる、臆病なヤツというレッテルが貼られたというわけである。
ところが、たまたま坂井三郎氏のYouTube動画で晩年の彼の映像をみたところ、まさしく彼自身がこの小説の宮部と同じ行動をとっていたことが分かった。
2分20秒付近から、そのあたりの「心得」を力説されている。
零戦は素晴らしい戦闘能力を持った戦闘機であり、全盛期に於いては戦闘機は体の一部であったとも話しておられる。
まさに「人馬一体」ならぬ「人機一体」であった。
しかし零戦は撃たれ弱いという欠点も持ち合わせていた。
自在に動ける戦闘能力は軽い素材で作られた利点を生かしてはいるが、反面、機銃による攻撃にはひとたまりもないということであった。
坂井氏も右頭部に銃弾を受け、意識を消失しながらラバウルまで4時間かけて奇跡的に生還している。
「永遠の0」で主人公、宮部は 「生きて娘と妻に会う」 と決心して戦争と対峙していた。
特攻にも志願せず、生還することを常に第一義と考えていた。
近代日本における戦争をテーマにした映画、小説、またはノンフィクションに於いて我々の先人は神風特攻隊に志願し、或いは過酷な環境下に玉砕していくシーンがよく見られた。
日本人の死生観として護るべきもののためには潔く生命を捨てることを良しとし、その軽さは鴻毛の如くとも言われた。
しかし、永遠の0では日本における死生観の「常識」を覆した主人公が登場する。 読み始めた時点では一瞬「引く」感じもあった方も多いのではと思う。
でも読み続けるにつれて、生命を大切にすることの意味が大きいことがだんだんと分かってくる。
アメリカのパイロットはたとえ撃墜されても、パイロット自身が致命傷を負っていなければ、また新しい戦闘機に乗り、過去の戦闘で学習した経験をもってさらに強くなって日本のパイロットと対峙することになる。
日本は簡単に機体を貫かれ、即死するか、操縦不能から脱出を選ばす、敵空母に向かってカミカゼアタックをして消え去る。
そのアタックも100%ダメージを与えるものではない。敵艦に届かず、海の藻屑になるほうがはるかに多かった。
死なずに戦い続けることは、あたりまえのことではあるが、味方にとっては有利であり、敵にとっては不利なことである。
主人公、宮部久蔵はそのことを我々に教えてくれる。
また実在のパイロット、坂井三郎氏も宮部と同じ戦法で戦後を迎えている。
この現実で一番最初に思い出すのが、中川昭一氏だ。
チャンネル桜の討論会は最近秀逸な議論が多いが、その中でもこの討論も良かった。
この中で伊藤貫氏、田村秀夫氏、上島嘉郎氏の三氏から中川昭一氏との親交の話が出てくる。
当然の評価ではあるが、三氏ともに中川氏を高く評価しているが、やはりその優秀な日本の政治家は狙われる存在であったということになった。
日本にとって国益を考える真の政治家というのは命をも狙われる存在であるが、結果論ではあるが、彼は若くして亡くなってしまった。
非常に惜しい人・・・このような言葉で言い尽くせないくらいの人間を日本は失ったと私は今も思っている。
今の日本は正論を吐いて強く対外的に出るだけでは、その主張を通す前に殺されたっておかしくないくらいの外敵やスパイや反日分子に取り囲まれている。
中川氏の死を無駄にしないこと、そして殺されないようにうまく日本を危機から脱出させようと考えているのが安倍政権であり、安倍首相である。
伊藤貫氏も 「彼は我慢してる」と話しているように、自虐的談話からも完全に抜け出せない状態でいる。
そのことについて何も分からずに「ヘタレ」扱いにしている「自称保守」が一番幼稚で、無責任で、日本を破壊する手助けをしている存在に成りうることを自覚してもらいたい。
選択肢では自民党を参院選で圧勝させるしか、日本人が生き残る道は現時点では存在しないのである。
生き残り、戦い、そしてさらに生き残って、経験を増やしたうえでさらに戦う。 安倍首相は最初の政権で一度失脚したが、再度返り咲く事が出来た。それは最初の政権よりもさらに強い存在で復活したことと信じている。
安倍首相には是非、生き抜いて、同士中川昭一氏の無念を晴らしていただきたいと心から祈念している。