引退した元自民党の野中広務氏が、支那に行ってかなり余計な発言をしたということを、今朝のニュースをちら見しながら聞いた。あきれて、あいた口がふさがらない。朝から怒り心頭に達してしまった。何でわざわざ支那に出かけて 現政府の主張を覆すような余計な発言をするものか、理解に苦しむ。
野中氏のいうことには、41年前の日中国交正常化交渉の中で、尖閣の領有問題は棚上げにしましょうという合意が、当時の田中角栄首相と周恩来首相との間にあった、というのだ。それを、日本ではなくわざわざ支那に招かれて、支那の要人の前で発言したという。
民主党の、例えば鳩山などが発言するのだったら、元首相ながら、
「与党の人間の発言ではないので」
と否定してかわすこともできるが、引退したとはいえ、元自民党の幹事長がこんな発言をするとは、痴呆が入っているのか、支那から丸めこまれたか、と疑われてもやむないほどの愚行である。
いわゆる慰安婦とか、南京大虐殺は、朝日新聞が報道してから、慰安婦と名乗る女がモコモコと名乗り出たり、被害状況を訴える本が出たりした。もし本当にそれらが史実なら、朝日新聞が報道する前に、国連などに被害状況を訴えたり、我が国に賠償を求めるとかしそうな話なのだが、朝日新聞という「保証書」を得て、初めて名乗り出るわ、謝罪を要求するわ、というのに納得ができる人がいればお目にかかりたい。
これと同じで、今回の尖閣問題の「棚上げ」論が、どのほどの確約の度合いで言われたのか分からないが、仮に、百歩譲ってそういう陰の合意があったにしても、そんなことを、公の、しかも支那政府に招待されているときに、与党の合意も取らず、勝手に発言すべきではないし、第一、当時の支那の関係者の生き残りの人らが(少しくらいは生存しているだろう)、とっくの昔に同じ証言をしていてもいいはずなのに、今回の野中発言で初めて聞いた。
おひとよしの日本人は、「自分に不利なことは一切言わない」という、諸外国ならほぼ当たり前の公的なルールを持っていない。土台、自虐の心はなはだしく、欧米人、ロシア人、支那人、韓国人などが、死んでも不利なことを認めようとしない姿勢を貫いているのに対し、ありもしないことも簡単に謝罪するし、自分に不利なことでも今回の野中のように、積極的に認めてしまう。これが、以心伝心の効く国内問題だけならまだしい。対外的には、絶対にしてはいけない基本のキである。こんな発言をしたら、共産主義国家なら死刑だろう。当時の記憶がある政治家がいなくなりつつあるので、自分の記憶があるうちに証言しておきたい、と言うのが意図らしいが、尖閣を守るのに必死になってる政府と国益を害する、とんでもない発言である。
この野中と言う男、突然どうしたのだろう。政治家は、引退したら、一切公の場で政治に関する発言はつつしむべきだ。一生黙って死ぬべきであった。