南スーダンPKO 施設部隊先発主力現地入り
ハイチ、海賊対処 交代部隊も相次ぎ出発
国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)で同国の国づくりを支援する自衛隊国際平和協力隊の主力の一部40人が1月28日、成田を出発、29日、同国の首都ジュバに到着し、後続の本隊に備えてさっそく宿営地整備などに着手した。同じ28日には旭川駐屯地でハイチ大地震の復興支援に当たる陸自国際救援隊6次隊の壮行行事が、また、同30日には海自海賊対処航空部隊の9次隊が厚木基地から東アフリカ・ジブチに向けて出発した。カンボジアPKOから20年の今年、自衛隊の平和協力活動は国際社会にとって欠かせないものとなりつつある。
宿営地に天幕、逐次プレハブに
国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣されている自衛隊国際平和協力隊の1次隊(施設隊)の先発主力約40人が1月28日、成田空港を出発し、翌29日、同国の首都ジュバ市内の陸自宿営地に到着した。
現地入りしたのは、派遣施設隊副隊長を務める小野英二2陸佐以下約40人で、すでにジュバに展開している現地支援調整所長の生田目徹1陸佐以下、施設隊先遣隊の13人を含む23人とともに、資器材の受け入れなど宿営地整備のための各種準備に取り掛かっている。
今後は、派遣施設隊長を務める坂間輝男2陸佐以下の主力1波約120人が2月19日に、主力2波の約30人が3月下旬にそれぞれ出発し、これで1次隊の総勢約210人が現地に集結する。1次隊はジュバ市内のUNMISS敷地内の陸自宿営地を拠点に天幕生活でスタートし、逐次プレハブに移行しながら宿営地整備などの基盤整備に当たる。
これに先立ち、陸自派遣施設隊が使用する資器材や装備品等を搭載した初の空自C130H輸送機1機(南スーダン空輸隊長・狗田将明2空佐以下約20人)が1月26日、小牧基地を出発し、同30日、ジュバに到着した。
◇
君塚陸幕長は1月26日の記者会見で、南スーダンPKOについて、「施設部隊は、国連司令部との調整を開始し、同司令部の新着任者の講習を受講したり宿営地の測量や車両操縦訓練を行っている。また、病院やクリニックの確認なども行っている」と述べた。
また、陸幕長によると、調整所要員は、同国政府のインフラ関係の大臣や在南スーダン米国大使への表敬のほか、同じ基地の中にいるロシア軍の飛行隊、バンクラデシュの工兵部隊などを表敬して情報収集に努めているほか、現地のJICAや土木業者からも情報をを集めている。
旭川で6次要員の壮行行事 ハイチPKO
隊員、家族の拍手の中、ハイチに向け出発する陸自国際救援隊6次隊の高橋浩副隊長ら先発隊員(1月29日、旭川空港で)
ハイチで大地震の復興支援に当たっている陸自国際救援隊の第6次要員(隊長・25普連長の野村悟1陸佐以下、北方主力の約320人)の師団壮行行事が1月28日、旭川駐屯地で行われ、渡辺副大臣のほか、久納陸幕副長、平野2師団長、加瀬札幌病院長、反怖北方幕僚長、若月北海道処長、納富CRF副司令官らと、国会議員、旭川市長ら来賓、派遣隊員の家族ら計約700人が参加した。
渡辺副大臣は訓示で、「支援活動は世界に日本の存在が広がることで安全保障環境の改善につながる重要な任務。カンボジア派遣から今年で20年、これまで積み重ねてきた自衛隊のPKO活動は世界から高い評価を得ている。東日本大震災で逆境に遭っても冷静さと秩序を失わない日本の国民性に対して称賛の声が寄せられる中、その誇りを胸に日本を代表して一致団結、任務に精励し、無事に帰国されることを祈念する」と述べ、派遣隊員を激励した。
野村1陸佐は式典後の記者会見で、「現地の方々の目線に立ち、日本人らしい、日本人にしかできないきめ細かな支援をして任務を完遂し、全隊員と共に無事帰国できるよう、全力を尽くしたい」などと述べた。
6次隊は25普連(遠軽)、2施大(旭川)など2師団、北方を主力とする女性5人を含む約320人で編成。先発隊として、6次隊の副隊長を務める第2施設大隊長の高橋浩2陸佐以下約10人が1月30日、成田を出発し、31日にハイチの首都ポルトープランスに到着した。
今後6次隊は、野村隊長以下、第1波の約160人が2月10日、続いて第2波の約150人が同26日、それぞれ千歳空港からチャーター機で現地に向け出発する。
一方、昨年8月から現地で活動を続けてきた5次隊(隊長・前第9施設群長の橋本功一1陸佐以下、西方主力の約320人)は、約半年間の任務を終えて、第1波の約150人が2月13日、第2波の約170人が同29日、それぞれチャーター機で福岡空港に帰国する予定。
9次隊主力の2機100人出発 海賊対処航空部隊
アデン湾での海賊監視任務のためジブチに向け出発するP3C哨戒機と、見送る家族ら(1月30日、厚木基地で)
海自海賊対処航空隊9次隊(司令・向井強1佐以下、陸自隊員約60人を含む約180人)の主力となるP3C哨戒機2機と搭乗員、新活動拠点の警備に当たる空挺団隊員ら約100人が1月30日、厚木基地から東アフリカのジブチに向けて出発した。
出国行事は同日午前9時半過ぎから厚木基地の格納庫とエプロン地区で行われ、神風政務官や畑中空団司令官、派遣隊員家族、基地隊員など約150人が出席した。
神風政務官は訓示で「P3Cの警戒監視活動により収集された情報は、海賊対処に従事する諸外国と共有され、海賊抑止等に大きな成果を上げており、国際社会からも高く評価されている。全員が無事に帰国されることを心から祈念する」と述べた。
続いて畑中空団司令官が河野自艦隊司令官の訓示を代読し、「各国から派遣されている部隊とともに、諸官に与えられた重大な責務に確固たる信念を持って、実力を遺憾なく発揮し、職責を果たしてほしい」と激励した。
向井1佐が出国のあいさつをした後、派遣隊員は家族や隊員の前を行進し、搭乗員ら約30人はP3C2機に、羽田空港から同日にチャーター機で出発する約70人はバスにそれぞれ搭乗。2機はゆっくりと地上走行し、見送りの帽振れの中、離陸した。
8次隊(飯塚一三1佐以下約170人)の隊員はチャーター機で2月1日に鹿児島空港、P3Cは同8日に鹿屋基地にそれぞれ帰国する予定。