[転載]アルジェリア、対テロ作戦意志強固

　アルジェリア・イナメナス天然ガス施設テロ人質事件は、アルジェリア軍の制圧作戦は終結したものの、人質になったとみられる外国人が依然として行方不明になっており、各国政府が安否の確認を急いでいる。
　アルジェリア内務省は、人質少なくとも２３人が死亡したと発表した。捜査作業の結果、更に多くの死者が見付かる可能性もあるという。
　サイード情報相によると、犯行メンバーのグループの内アルジェリア人は３人で、残りはアラブ、アフリカなど６か国の外国人だったという。
　犯行グループは、隣国マリへのフランスの軍事介入に対する報復だと主張しているというが、これに対し一部の専門家からは、仏介入後僅か数日間で計画された犯行だとは考えにくいとの指摘も出ている。
　また、犯行者５人を逮捕し、３人を取り逃がしているとの情報もある。
　２０日ユスフィー・エネルギー・鉱業相は、国内の天然ガス施設の警備を強化すると表明した。施設の安全は、自国で守ることができると強調し、外国軍による介入を牽制した。
　アルジェリアとしては、自国の国益は自国で守り、他国の干渉は許さないという強い意志を表明したことになる。
　アルジェリアは、独立戦争に際し、宗主国フランスに対し激しいゲリラ戦を展開し、多くの犠牲の上に勝ち取った政治的独立であり、独立後も、過激派によるテロを経験し、いかに国家主権を守ることが大事だということを身に浸みて知っており、対テロ戦争も豊富に経験している。
　外国軍の干渉、介入を招けば、あたかも欧米の傀儡ごとき存在と映り、国内の反対を招き、天然ガス施設の利権をも、損なう恐れがあると判断し、どこまでも自国の自主自立の行動の自由を発揮するため急いだのであろう。
　欧米諸国の人命第一主義の交渉は、テロ人質事件を長引かし、犯行側の政治的宣伝の場と化し、それに伴って欧米諸国のアルジェリア政府に対する干渉、介入（交渉の進め方から、条件交渉、鎮圧作戦、人質解放後の処置まで）が激しくなり、アルジェリア政府の手を縛り、行動の自由を失い、結果責任だけを求められることになりかねない。欧米諸国がアルジェリアを見下したような批判（性急な軍事作戦、人質虐殺等々＝民主国ではない開発途上国、軍事作戦遂行能力に疑義等々）することに対する反発もある。
　アルジェリアは、国家主権を行使して作戦を展開した。行動の自由を得て責任を持って行動したのである。生命よりも重要な国家主権を守るための原則であった。テロリストの言いなりとなり、国家主権を失うよりは、非難されても国家主権を守る覚悟ある選択であった。
　孫子曰く、「故に兵は勝つを貴びて、久しきを貴ばず。」と。

註：「アルジェリア人質事件、行方不明者の安否確認急ぐ」http://www.cnn.co.jp/world/35027128.html
　浅野裕一『孫子』講談社、１９９７年、３９頁。
　　「マリ武装勢力拡散？」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/63721641.html
　　「アルジェリア、強行作戦終了」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/63721537.html