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[転載]皇后陛下「橋をかける」より

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天皇陛下、皇后陛下 御尊影(皇紀2672年天長節)






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昨年12月に投稿した記事の再投稿です。

『生まれて以来人は自分と周囲との間に一つ一つ橋を架け、
人とも物ともつながりを深め、それを自分の世界として生きています・・・・・
この橋は外に向かうだけでなく、内にも向かい、
自分と自分自身との間にも絶えずかけ続けられ、本当の自分を発見し
自己の確立をうながしていくように思います』
皇后陛下におかせられましては、ご成婚50周年を記念して「橋をかける」を出版あそばされた。上記はその一節です。



謹んで御本の一部を抜粋させていただきます。


教科書以外にほとんど読む本がなかった疎開先で、たまに父が東京から持ってきてくれる本は、どんなに嬉しかったか。
冊数が少ないので、惜しみ惜しみ読みました。
そのような中の一冊に、今、題を覚えていないのですが、子供のために書かれた日本の神話伝説の本がありました。
日本の歴史の曙のようなこの時代を物語る神話や伝説は、どちらも八世紀に記された二冊の本、古事記と日本書紀に記されていますから、恐らくはそうした本から、子供向けに再話されたものだったのでしょう。

父がどのような気持ちがその本を選んだのか、寡黙な父から、その時も、その後も聞いたことはありません。
しかしこれは、今考えると、本当によい贈り物であったと思います。
なぜなら、それから間もなく戦争が終わり、米軍の占領下に置かれた日本では、教育の方針が大幅に変わり、その後は歴史教育の中から、神話や伝説は全く削除されてしまったからです。

私は、自分が子供であったためか、民族の子供時代のようなこの太古の物語を、大変面白く読みました。
今思うのですが、一国の神話や伝説は、正確な史実ではないかもしれませんが、不思議とその民族を象徴します。
これに民話の世界を加えると、それぞれの国や地域の人々が、どのような自然観や生死観を持っていたか、何を尊び、何を恐れたか、どのような想像力を持っていたか等が、うっすらとですが感じられます。

父がくれた神話伝説の本は、私に、個々の家族以外にも、民族の共通の祖先があることを教えたという意味で、私に一つの根っこのようなものを与えてくれました。
もっとも、この時の根っこは、かすかに自分の帰属を知ったという程のもので、それ以後、これが自己確立という大きな根に少しずつ育っていく上の、ほんの第一段階に過ぎないものではあったのですが。

また、これはずっと後になって認識したことなのですが、この本は、日本の物語の原型ともいうべきものを私に示してくれました。
やがてはその広大な裾野に、児童文学が生まれる力強い原型です。
そしてこの原型との子供時代の出会いは、その後私が異国を知ろうとする時に、何よりもまず、その国の物語を知りたいと思うきっかけを作ってくれました。


ご来訪いただいている皆様は、皇后陛下の祖父母様が共に熱心なカトリック教徒であられたことはご存知だと思います。
皇后陛下洗礼は受けておられませんが、ミッション系の聖心女子大学でカトリック信仰について多くを学ばれました。
キリスト教についても多くの知識をもっておられ、そのことが諸外国の多くの方々から敬愛される一因にもなっています。
世界に日本の精神を発信される国際人としてご活躍されてきた皇后陛下の素地は、ご幼少の頃、疎開先で自然界と触れ合い、日本の原型である神話を学ばれたことにあるように思います。
「真の日本人・真の国際人」はまず自国の成り立ちを知り、その上で他国の文化、伝統を知っていることではないでしょうか?
筆者が師と仰ぐ、さくらの花びら大兄が先日、「日本の歴史を知らない日本人」と題して、秀逸な記事を書かれました。
歴史を知らないから祖国への誇りも持たない、愛国心も生まれないのです。政治家においては、正しい史観を持たないから諸外国に媚びばかり売るのです。
戦後、教科書に墨をぬらされたことから分かるように、我国は連合国の占領を受けたことで、教育の内容は大きく変えられてしまいました。建国の歴史を教えなくなったばかりか、日本の素晴らしい精神についても教えることができなくなりました。連合国が日本を占領した目的は一つしかないのです。我国が将来に亘って二度と連合国に刃向うことがないように「我国を骨抜きにすること」であったのです。連合国は、日本人と神道の関係を断ち切り、建国と神話の教育をやめさせ、日本人の心のなかから日本人の精神を抹消しようとした。その結果が荒廃した現在の世相に現れています。
現在の政治・経済のもたつきは、戦後教育を受けた世代の顕著な例です。
歴史学者として知られるアーノルド・トインビー博士は「十二、三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と述べています。
また、一つの民族を滅ぼすには、一定期間「母国語」と「歴史」を奪えばその民族は消えてなくなると言われています。
かっての征服者は、征服した地では、言語と歴史を奪いました。
それだけ、国語と歴史は大事なものなのです。
現世の人々は、「神話」とは古代の人が作った「ただの神ばなし、昔ばなし、一種の小説のようなもの」と考えているようですが、日本の神話が私たちの祖先から連綿と伝えられて来たということには誰も異存はないはずです。
伝承、文化を蔑ろにして葬り去ってしまうことは、祖先をないがしろにすることでもあり、民族意識を失うことであり、自然の摂理に反していることはいうまでもなく、淘汰される運命にあることも自然の摂理のように思います。
皆さんもご存知のとおり、祖国を失ったユダヤ人が二千年以上に亘って民族としての誇りや団結力を維持して来たのは、ユダヤ神話を信じ、精神的国家としてつながっていたからで、民族の神話がいかに大切なものであるかの証左でもあるのです。
『古事記』の神代の段(くだり)は、天地開闢から人間界の成り立ちに至るまで詳細に記されており、歴史的な連続性をもった世界に類を見ない古伝承です。
神話を知ることにより、日本民族としての誇りや団結力を取り戻し、実際面でも真の独立国家になり得るものと信じています。
我国は一国一文明一王朝の世界でも類のない素晴らしい国です。
万世一系の畏くも天皇陛下を戴く民族です。
皇后陛下のお話が民族のありかたを示されているのです。



転載元: 美し国(うましくに)


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