12/20日付 | ニュース トップ |
2012防衛10大ニュース1位 北朝鮮 弾道ミサイル2度発射 BMDシステムで対処 2位 陸自と米海兵隊 グアムで初の水陸両用訓練 3位 日米防衛相 指針見直し協議開始で合意 4位 在日米軍再編 在沖海兵隊の移転先行 普天間切り離しで合意 5位 航空総隊司令部 横田移転を完了 6位 松島基地 F2飛行訓練を再開 7位 小原1尉、米満3尉 ロンドン五輪で金メダル 8位 日豪が防衛協力強化で新段階へ 9位 高速道SAを防災拠点化 陸自東方 NEXCOと協定締結 10位 日英 装備共同開発で合意 3原則緩和後、初めて (上記の順位は『朝雲』紙上で報道した今年の防衛関連ニュースについて編集局内で投票・集計したものです) 2012年を振り返る 北朝鮮のミサイル発射予告に対し、万一に備えて市ヶ谷の防衛省グラウンドに設置されたPAC3ミサイル 陸自と在沖海兵隊との初の水陸両用訓練。ボートで一斉に砂浜に上陸する日米隊員(9月22日、グアムの米海軍基地で) 航空総隊司令部が府中基地から空自横田基地に移転。日米共同調整所や指揮所を備えた司令部庁舎などで業務を開始 津波災害で中止されていたF2戦闘機の飛行訓練が再開。F2B124号機を背にする松島基地の隊員(4月19日) 自衛官選手が28年ぶりの快挙。ロンドン五輪レスリングで金メダルを獲得した小原1尉 自衛官選手が28年ぶりの快挙。ロンドン五輪レスリングで金メダルを獲得した米満3尉 高速道路SAなどの防災拠点化を受け、常磐自動車道・守谷SAで初の通信回線構成訓練を行う陸自東方部隊(7月9日) 不意突く北ミサイル発射 『朝雲』に掲載された安全保障・防衛政策記事から今年1年を振り返る「防衛10大ニュース」は、北朝鮮による「人工衛星」と称する弾道ミサイルの2度の発射が1位となった。 北朝鮮は国際世論が強く自制を求める中、同国北西部東(トン)倉里(チャンリ)の西海衛星発射場から4月13日に続き、12月12日にも発射を強行した。4月の発射は1分間飛翔して爆発、失敗したものの、12月の発射は、北朝鮮が世界海事機関に通告した3カ所の設定危険区域内にロケットや部品が落下。東倉里からフィリピンのルソン島東方沖まで最大で約2700キロ飛行したことになり、「人工衛星の打ち上げに成功」と宣言するはしゃぎぶりだ。 北朝鮮は地下核実験も準備しているとの報道もあり、ミサイル技術の向上とともに、周辺諸国を脅かす危険な国家となってきた。 北朝鮮の行為は、そのまま東アジアの安全保障環境の厳しさを物語るものだが、我が国の防衛省・自衛隊も日米同盟の深化、動的防衛協力の強化を図る象徴的な試みが相次いだ。 一つは陸自と米海兵隊によるグアムでの初の水陸両用訓練。南西諸島など島嶼防衛を想定した訓練で、双方の連携要領などを実践的に演練し、相互の信頼感醸成で成果を挙げた。 さらに日米防衛首脳レベルでは、「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインの見直しに合意、実務者による協議が始まった。昭和53年11月に制定して以来、平成9年9月に周辺事態や武力攻撃事態などを加味した指針に見直した。 しかし、その後の北朝鮮によるミサイル発射をはじめ、地下核実験、中国の急速な軍事力の近代化、海洋進出の活発化など、安全保障環境の激変に対し、日米安保条約を効果的に運用させるためにも指針の更なる見直しが日米の課題となっていた。 在日米軍再編計画を見直し、在沖縄海兵隊のグアムへの移転を先行させ、普天間移設問題と切り離すことで合意したのも地元の負担軽減につながる成果だ。また、空自の航空総隊司令部などの横田基地への移転は、日米の連携強化という点で日米同盟の深化に大いに貢献するものだ。 2位から5位までが日米に関係した事項が占めたのは、期せずして今の日米関係を表しているが、日豪が防衛協力強化で合意(8位)したことや、英国と装備品の共同開発に合意(10位)したことも特筆されよう。 一方、昨年の東日本大震災による大津波で甚大な被害を受けた空自松島基地で13カ月ぶりに飛行訓練が再開されたのは明るいニュースとして6位に。震災の教訓を踏まえた事項では高速道路のサービスエリアを大規模災害が起きた時に防災拠点化する動きも出てきた。陸自東方がNEXCO東日本などとの間で協定を締結したことが9位となった。 また、五輪ロンドン大会で体育学校の小原日登美1陸尉がレスリング女子48キロ級で、米満達弘3陸尉が同男子フリー66キロ級で共に金メダルを獲得。昭和59年ロサンゼルス大会で、射撃のラピッドファイア―ピストルの蒲池猛夫3陸尉(当時)、レスリング・グレコ52級の宮原厚次3陸曹(同)がそろって金メダルを取って以来、自衛官選手の金メダル獲得は28年ぶりの快挙で、7位となった。 |
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<西風東風> |
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アンゴラで地域復興支援のJMAS 地雷処理100ヘクタール達成 地雷処理100ヘクタール達成を祝うJMASスタッフ、日本大使館、地元自治体、日系企業などの関係者たち(11月29日、アンゴラで) 灌木やでこぼこの地盤を克服し、土煙を上げて地雷処理する地雷除去機(今年7月) 「日本のみなさん、故郷を安全な土地に変えてくれてありがとう」――。アフリカ南西部のアンゴラ共和国で、長年の内戦で残された大量の地雷処理と地域復興支援に当たっている自衛官OBでつくる認定NPO法人「日本地雷処理を支援する会」(JMAS、先崎一会長=初代統幕長)が困難な環境の中、10月までに地雷処理面積100ヘクタールを達成した。11月29日、現地のJMAS事務所(現地代表・奈良暁氏=陸自OB)で記念式典が行われ、地域の人々から感謝の言葉が多数寄せられた。 炎暑、地形を克服 農業、人材の育成も 記念式典で感謝の言葉 アンゴラは1975年にポルトガルから独立して以降、政府軍と反政府勢力のアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)による内戦が約27年間続いた。02年、停戦に合意し、その後、反政府勢力の武装解除が進み、国家再建のプロセスが進展している。 現地では、09年4月、JMASが、首都ルアンダから北東約70キロ離れたベンゴ州マブバスで、同国の「国家地雷除去院(INAD)」と連携して地雷処理を開始。INAD隊員に近代的で複雑な大型の地雷除去機械の操作や整備技術を教えながら、トゲ灌木や、凹凸の激しい地形、日中50度を超える炎暑を克服し、世界第3位とされる約1500万個の大量の地雷処理に当たっている。 特に同州は固い地盤のため"石のベンゴ州"として知られており、地雷除去機の歯の損耗が激しく、極めて困難な作業という。地雷処理後の土地は、すでに同国政府が住宅の建設を始めている。 11月29日の式典にはJMASのスタッフ、同国の地雷処理機関の代表者をはじめ、州や市、郡など自治体や日本の協力企業の関係者ら約20人が出席。 ベンゴ州のメジョール副知事は、「JMASの地雷処理とコミュニティ復興活動は地域の復興に大きく貢献」と謝意を表明。住宅供給のため、州ではさらに安全で広い土地を必要としていると述べ、今後の活動に期待感を示した。 続いて日本大使館の宮川参事官は、厳しい地形での広域処理の成果をたたえ、「地雷処理された土地が有効活用されるのは素晴らしいことだ」と述べた。 また、協力企業の小松製作所、住友商事、豊田通商の現地駐在員らが、企業の社会的責任の観点から祝辞を述べ、JMASの活動への引き続きの支援を表明した。 JMASは地雷処理だけでなく、技術移転、道路整備、清掃活動、水揚げ支援をはじめ、農業心の育成や青少年育成などの人材育成支援を行い、紛争で荒廃した地域の復興までを包括的に支援している。 現地代表の奈良暁氏は、「日本による官民一体の能力構築支援や地域復興支援を地道に続け、同国の発展に寄与していきたい」と話している。 ◇アンゴラ共和国 1975年にポルトガルから独立。人口約1850万人、国土面積は約124万平方キロメートル(日本の3・3倍)。軍事面で旧ソ連に依存したMPLA(アンゴラ解放人民運動)政権と、米国などが支援する反政府勢力のUNITAとの間で2002年まで内戦が続いた。終結後は石油やダイヤモンドなど豊富な資源を背景に経済発展している。 |
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震災で流失の漁船発見 種子島沖 P―3C哨戒機が訓練中 種子島沖で漂流中の転覆漁船(85号機から撮影) 【1空群=鹿屋】第1航空隊のP3C哨戒機85号機(機長・濱田穣3佐以下17人)は10月25日、鹿児島県・種子島の南東約100キロの太平洋で、宮城県石巻市の牡鹿漁協所属の漁船が漂流しているのを発見した。 午前9時半ごろ、訓練飛行中の85号機が転覆した小船を確認。直ちに海上保安庁に通報するとともに、海難事故の可能性があることから周辺を捜索した。海保ヘリが現場に到着すると、監視などの任務を引き継ぎ、85号機は鹿屋航空基地に帰投した。 海保が漂流漁船を調査した結果、東日本大震災の大津波で流失した漁船であることが判明。漁船の持ち主である60代の男性は「そんな遠いところで見つかるなんて」と驚いた様子だったという。 漂流船は海流に流され、北太平洋を一周した後、黒潮に乗って日本近海に戻ってきたものとみられる。鹿児島県内で被災漁船が発見されるのは2例目。 機長の濱田3佐は驚きとともに「見張りや災害派遣の重要性を再認識した」。上空からは米粒ぐらいにしか見えない漂流船の発見には「クルーが日ごろの訓練成果を遺憾なく発揮した結果だ」と話している。 |