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2012年 平和構築に休みなし ハイチ大地震の復興支援、ソマリア沖アデン湾の海賊対処など、海外で平成24年を迎えた自衛官は約1000人。中東ゴラン高原の国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)に派遣されている陸自ゴラン高原派遣輸送隊は平成8年の派遣から17年目を迎え、32次隊となった。東ティモールでは個人派遣の自衛官2人が軍事連絡要員として活躍。南極観測協力の海自砕氷艦「しらせ」は現在、昭和基地を目指してリュツォホルム湾沖の氷海を砕氷航行中だ。
アデン湾海賊対処 元日に任務飛行600回 新拠点で効率的に部隊運用 警戒監視飛行600回を記念、人文字で祝う海賊対処航空隊8次隊(ジブチ共和国の活動拠点で)
東アフリカのジブチを拠点にソマリア沖アデン湾で民間船舶の護衛活動を行っている海自海賊対処水上部隊10次隊(護衛艦「たかなみ」「おおなみ」で編成、指揮官・水間貴勝1佐以下約370人)と航空隊8次隊(飯塚一三司令以下約170人)も現地で新年を迎えた。航空隊は元旦、1次隊からの累計で「任務飛行600回」を達成、幸先のよいスタートを切った。
航空隊は昨年11月12日にアデン湾で不審船を発見し、付近を航行中のデンマーク艦艇に通報するなど着実に成果を上げている。P3C哨戒機による監視飛行は他国に比べて不審船の発見率が高いことから、ジブチに駐留する各国海軍も評価。「不審船を発見した場合、我々がすぐに対処するので、ぜひ通報してほしい」と要望されているという。 昨年6月には自衛隊初の海外活動拠点がジブチに開設され、司令部庁舎と隊舎、P3C哨戒機の整備用格納庫、隊員の健康維持を図るための体育館なども整った。飯塚1佐は「活動拠点の開所により、効率的な部隊運用が可能になった」と話している。 一方、水上部隊10次隊の「たかなみ」(艦長・米丸祥一2佐)、「おおなみ」(同・吉野敦2佐)は昨年11月4日に9次隊から任務を引き継いだ後、同13日には海自が任務を開始して以来の護衛活動通算300回を達成、引き続き正月明けもアデン湾に監視の目を光らせている。 水間1佐は「日本関連の商船のみならず各国の商船が海自護衛艦による護衛を必要としている」などと、護衛活動の重要性を強調している。 日本に高い評価――ハイチPKO ハイチ大地震で崩れた道路の整備に当たる陸自国際救援隊の5次要員(昨年12月、首都ポルトープランス周辺で)
ハイチで大地震の復興支援に当たっている陸自国際救援隊の第5次隊(隊長・9施設群長の橋本功一1陸佐以下、西方主力の約320人)は、昨年8月の現地入り以来、初めての正月を迎えた。
5次隊はMINUSTAH(国連ハイチ安定化ミッション)司令部からの指示に基づき、WFP(世界食糧計画)の敷地造成をはじめ、首都ポルトープランス市内の道路改修など、大型ドーザーやダンプを使ってさまざまな復旧支援活動を行っている。 日本隊の丁寧な作業はハイチ国民から高い評価を受けている。 すでに32次隊に――ゴランPKO レッカー車の操作を訓練する陸自ゴラン高原派遣輸送隊32次要員(シリア側ファウアール宿営地付近で)
国連平和維持活動協力法に基づき中東ゴラン高原の国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)に派遣されている陸自ゴラン高原派遣輸送隊の第32次要員(隊長・野下茂助3佐以下10師団基幹の43人)は昨年8月の現地入り後、イスラエル側のジウアニ、シリア側のファウアール両宿営地を拠点に食料品や施設器材などの輸送をはじめ、宿営地整備、補給業務など、後方支援部隊として多様な任務に当たっている。
UNDOFは1974年に設立され今年で39年目を迎えた最も古い国連PKO活動の一つ。停戦に合意したシリアとイスラエルの間に設定された兵力引き離し地域に展開し、両国間の停戦監視と兵力引き離しに関する合意の履行状況などを監視するのが任務だ。 日本は平成8年から要員を派遣しており、現在は印、比、オーストリア、クロアチアの各国軍とともに隊員同士の交流を図りながら活動している。 治安情報を収集東ティモール要員 東ティモールで武力紛争停止の順守状況を監視している国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)に、防衛省から島瀬貴生、皆木祐介両1陸尉=いずれも即応集団司令部=が「東ティモール国際平和協力隊」の第3次軍事連絡要員として昨年9月から派遣されている。
3次要員の派遣期間は約半年間。2人は国境付近の監視所や村落等で治安情勢などの情報を収集し、PKO司令部に報告するなどの任務に当たっている。 昭和基地へ物資空輸開始 昨年同様、厚い氷と積雪で砕氷航行に時間を費やした海自砕氷艦「しらせ」(中藤琢雄艦長以下約175人)は、年末の12月23日、ようやく南極・昭和基地までヘリの航続距離圏内の流氷域に到達、越冬隊員が待ちかねる昭和基地への物資空輸を開始した。乗員は艦上で新年を迎えた後、1月上旬、基地沖に到着の予定だ。写真は見渡す限りの流氷の中、「しらせ」飛行甲板で昭和基地への食糧などを搭載中のCH101輸送ヘリ(12月23日、リュツォホルム湾沖で)
<2012新春メッセージ>
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2012年 平和構築に休みなし
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