2012-08-07
脱原発に利用されるヒロシマ![Comments Comments]()
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かつて日本は美しかった誇りある日本、美しい日本へ
ヒロシマの平和記念式典で「脱原発」?なんですか、それ。
首相“被爆体験伝承や脱原発依存を” |
核兵器も原発も原子力エネルギーを利用したものですが、利用目的が全く異なるので、ヒロシマの平和式典でエネルギー問題に言及するのは違和感があります。広島市長もエネルギー政策に言及していました(※1)。読売新聞の社説(※2)で次のような記事を見かけました。
原発も大事故に至れば放射性物質の拡散を招くが、大量殺戮兵器と原子力の平和利用を同列に論じるのはおかしい。 原発事故は、安全対策をしっかり講じれば防ぎ得る。事故の教訓を生かし、世界の原発の安全性向上に貢献することが、むしろ日本の責務ではないか。
原発については中長期的なエネルギー政策の視点から、冷静に議論を重ねていく必要がある」
そもそもどのようなエネルギーでも人を殺しもすれば守りもします。石油エネルギーを見れば、自動車は石油を精製してできるガソリンで走っています。自動車は人をひき殺します。平成22年(2010年)の統計(※3)では4,863人が交通事故で死亡しています。そして排ガスは公害です。公害で人は死にます。日本では年間3万3000人から5万2000人の人たちが大気汚染が原因で死亡しており(※4)、有害な窒素酸化物NOxの48%は自動車の排ガスで、硫黄酸化物SOxの13%が自動車の排ガスです。パーセンテージから算出すると石油エネルギーにより走る自動車の排ガスによる大気汚染が原因で1万人強が死んでいるのです。だからといって自動車は危険なので自動車を廃止せよとはなりません。
ヒロシマの原爆で20万人が死んだから同じ原子力エネルギーを使う原発は廃止すべきという主張は異常です。日本の原発で死んだ人はいません。福島の原発事故で「脱原発」が叫ばれ、言葉が広まったので、なんらかの意図でヒロシマに結びつける、つまりヒロシマを利用する動きがあるのでしょう。政治家がいいはじめるのは票が目的に他なりません。
そもそも原発はどれくらい危険なのでしょうか。リスク分析の専門家は1TWhあたりの発電方法別の死亡者数を統計にとります。Tはテラという単位です。Kが1000、Mがその1000倍、T(テラ)はその1000倍になります。同じ土俵で比較するものです。これによると各発電方法別の死亡者数は以下になります(※4)。
石油などの化石燃料 ・・・ 21人
水力 ・・・ 1.4 人
ソーラー ・・・ 0.44人
風力 ・・・ 0.15人
原子力 ・・・ 0.03人
この数字は運転による事故だけでなく、資源の発掘による事故、プラントの建設時の事故や排出する公害を原因とする死亡を含んでいます。化石燃料による死亡はダントツです。これは公害が主の死亡原因になります。ソーラーをとれば、太陽光パネルは高いところに設置するので、設置する際に落下事故があるのです。原発は最もリスクの少ない発電方法になります。
どのようなエネルギーでも人を守るし、殺しもするのですから、是非は問いにくいですが、相対的には原発はリスクが少ないエネルギーといえます。こういう事実を踏まえて我々はエネルギー政策を考えなければいけないのです。放射能というのは目に見えませんし、浴びたときはなんともなくても将来影響がわからない、という「不安」があります。こうした不安につけこんで、何らかの意図をもって「反原発」「脱原発」をヒステリックに叫ぶ怪しい人たちがいて、政治家たちが支持獲得のためにスローガンに掲げているのです。マスコミは視聴率がとれればいいので、センセーショナルなことばかり報道し、それで国民は「原発は危険」だと洗脳されるのです。我々はそういったものをちゃんと見抜いて冷静にエネルギー政策を考えなければなりません。
※1 野田首相「安心エネ確立めざす」 広島市長「福島と広島重なる」 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120806/plc12080611230009-n1.htm
※2 読売新聞8月6日朝刊社説「核の驚異阻止への不断の努力を」
※3 一般社団法人UTMS協会「日本の交通事情」より http://www.utms.or.jp/japanese/condi/jiko.html
※4 新潮新書「『反原発』の不都合な真実」藤沢数希(著)より