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<防衛省10年 その評価と今後への期待>
政策官庁として、もっとイニシアチブを
水交会理事長 齋藤隆氏
(第2代統幕長、第27代海上幕僚長、元海将)
2017年12月5日更新
平成19年1月9日、「防衛庁」は「防衛省」に昇格した。この年2月に防大を卒業する51期生に対し、統幕長として講話をした。諸君は何も辛酸をなめた我々先輩のように卑屈になる必要はない。そのうえで自衛隊への国民の期待が一層増す時代、「常に国民の目線で謙虚に、実るほど頭を垂れる防衛省」と、当時ある新聞に書かれていた内容を紹介したことを思い出した。
51期生をはじめ後輩諸君は、その後の東日本大震災、そして北朝鮮、東シナ海問題、災害対処と、一時も気が抜けない状況で頑張っており、老兵の杞憂であったとも思っている。
国家安全保障の総合力結集の「核」に
さて、防衛庁から防衛省への法案審議の過程で、当時、北朝鮮のミサイルの問題を理由に省昇格の理由にはならないという批判意見を聞いた。東日本大震災の時に、「統合運用」に移行していて本当に良かったと感じたものだが、現下の北朝鮮情勢を見たとき、防衛省に移行していてよかったと思うのは私だけであろうか。
しかし、これに満足していてはならない。周辺地域の安全保障環境はますます厳しさを増している。この荒海を乗り越えるには、国家としての総合力を一層結集する必要がある。防衛省設置法案の成立過程において、防衛省を「安全保障の主役とすべき」との議論が皆無であったことは若干の責任を感じつつも、残念である。防衛省は「・・・
防衛関連ニュース
<防衛省10年 その評価と今後への期待>
合法的・実効的に対応できる憲法上の規定を
つばさ会会長 外薗健一朗氏
(第30代航空幕僚長、元空将)
2017年12月5日更新
つばさ会会長 外薗 健一朗氏(第30代航空幕僚長、元空将)
平成19年、「防衛省」に昇格してから早くも10年が経過した。この記念すべき節目に際して、拙稿を献ずる機会をいただいたことに感謝したい。
防衛庁から防衛省への昇格は、国際平和維持活動等への自衛隊の派遣、有事法制の制定、統合運用体制の整備、国家安全保障戦略の策定、国家安全保障会議の設置、平和・安全保障法制の整備など、防衛庁・自衛隊創設以来、国際安全保障環境の変化に対応して防衛体制と政策が進化してきた一連のステップの一つとして位置付けられよう。
近年、我が国の安全保障環境はたいへん厳しい状況にあるが、防衛省が「政策官庁」として適切に対処できる体制が10年前に整備されたことを評価したい。
防衛省昇格後10年という節目に当たって、防衛省・自衛隊の今後への期待について、自衛隊OBの一人として考えるところを述べたい。
「常設統合司令部」の早期実現に期待
自衛隊は、平成18年3月に統合運用を基本とする体制に移行したが、「常設統合司令部」の設置は長期的課題として位置付けられた。現下の北朝鮮の切迫した脅威と、中国の東シナ海における傍若無人な現状変更の動きに即応して実効的な防衛行動を取るには、一人の統合指揮官と常設統合司令部の存在が必須である。
海上自衛隊の自衛艦隊と航空自衛隊の航空総隊は、一人の司令官の下に常設の司令部が存在している。平成29年度には「陸上総隊」が創設され、自衛艦隊、航空総隊と相まって、陸海空自衛隊が一元的な指揮のもとに統合運用を行う前提条件が整うことになる。
現下の・・・
防衛関連ニュース
空自2高群6高隊のPAC3部隊、飯塚駐屯地で展開訓練
(2017年11月28日)
2017年12月5日更新
PAC3の発射準備訓練を行う空自2高群6高隊の隊員(11月28日、陸自飯塚駐屯地で)
【空幕】空自2高群6高射隊(芦屋)は11月28日、弾道ミサイル防衛用の地対空誘導弾PAC3の機動展開訓練を福岡県飯塚市の陸自飯塚駐屯地で行った。
同訓練はPAC3の器材の布置や人員の移動、展開手順などの習熟度の確認を目的に実施。当日は6高隊長の・・・
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宮古海峡上空に中国軍機 11月では3回目
空自スクランブル
(2017年11月23日)
2017年12月5日更新
中国軍機の航跡図(11月23日)
中国軍機のH6爆撃機=写真=4機とY8情報収集機1機が11月23日、沖縄本島と宮古島間の宮古海峡の公海上を通過したため、空自南空のF15戦闘機などが緊急発進して対応した。領空侵犯はなかった。
上海方面から尖閣諸島沖の東シナ海に飛来したH6は、南東進して宮古海峡から太平洋に進出した後、反転して往路と逆ルートで自国領方面に戻った。
一方、・・・
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<秋の訓練最盛期>
即応予備自の招集訓練 49普連
(2017年9月22日~26日)
2017年12月5日更新
敵の動きを監視しながら狙撃銃で狙う49普連の3中隊員(信太山演習場で)
【49普連=豊川】49普連は9月22日~26日、信太山演習場で第5次即応予備自衛官招集訓練の一環として3中隊と衛生小隊の「第2次中隊等訓練検閲」を実施した。
検閲では、3中隊が「陣地防御」、衛生小隊が「陣地防御における施設の展開・撤収・治療・後送」を検閲課目に、即応予備自衛官55人を含む90人の隊員が受閲。2夜3日の状況下で演練した。
3中隊は限られた防御準備期間を最大限に活用し、所要の偵察、・・・
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<秋の訓練最盛期>
師団の陣地攻撃を想定 3師団
(2017年9月6日~10日)
2017年12月5日更新
攻撃目標に向けて87式対戦車誘導弾の狙いを定める36普連の隊員(あいば野演習場で)
【3師団=千僧】3師団は9月6日~10日、あいば野演習場などで36普連(伊丹)、3飛行隊(八尾)、3特殊武器防護隊(千僧)の3部隊に対し、平成29年度「第2次師団訓練検閲」を実施した。
検閲は「指揮の要訣の実践」「有機的な幕僚活動」「状況に応ずる部隊の行動及び隊員の動作」を主要演練項目に、師団の陣地攻撃を想定して部隊の練度を評価した。
36普連はゲリラ・コマンドの・・・
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<秋の訓練最盛期>
4師団が日出生台で砲迫観測訓練
(2017年8月23日~9月3日)
2017年12月5日更新
砲迫観測訓練で、状況下の射撃要求を行う4師団隷下部隊の観測要員(日出生台演習場で)
【4師団=福岡】4師団は8月28日から9月3日まで、日出生台演習場で「師団砲迫観測訓練」を実施した。
訓練では師団隷下各部隊の観測要員に対し、射撃要求と着弾観測訓練を演練して特技などの職務遂行能力の向上を図り、部隊の任務と特性に応じた対処能力の向上を図った。
はじめに機能別訓練で座学と非実射訓練を行い、続く総合訓練では状況下での情報収集からの射撃要求と観測に至る段階的な訓練を行った。
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<訃報> 田鍋 秀雄 氏
2017年12月5日更新
田鍋 秀雄氏(たなべ・ひでお=元幹部学校長、元空将)11月18日に死去。95歳。告別式は同24日、東京都新宿区の落合斎場で行った。喪主は長男の明良さん。
東京都出身。陸航士55期。中警団司令兼入間基地司令、1術校長兼浜松南基地司令などを歴任し、昭和51年7月から53年3月まで幹部学校長を務めた。