JAPANISM
  • 2013年12月30日 09:00
  • 捏造で誇りを保つ韓国人と自虐で誇りを失う日本人〜日本を、取り戻すで教育も、取り戻す
フリーライター 仙波晃
私が受けた歴史教育の実態
「資源豊かな満州の地を、日本は欲しくて欲しくて仕方なかった。だから侵略して中国から奪ったんです」

 私が中学生の頃、社会科(歴史)の授業で教師は確かにこう言った。なぜ今でも覚えているかというと、私の母方の祖父は大東亜戦争で徴兵され、戦後シベリアにおいて捕虜となり、その後数年にわたって極寒の地で強制労働を強いられたという過去がある。そのせいで重度の難聴になり、大声で話しかけないと会話にならなかった。もう祖父は亡くなってしまったが、私は幼少の頃から祖父が徴兵されたこと、捕虜となったことなどを聞かされていたため、先の社会科の教師の言葉を聞いた時に「俺の爺ちゃんは悪いことをするために外国に行って、難聴になって帰ってきたのか......」と嫌な気分になったのである。だからこの授業のことは今でも鮮明に覚えている。

 「満州を侵略した」と教えるのもひとつの歴史の見方として良いのかもしれない。しかしそれならば、なぜ日本は満州まで進出したのか、欧米の植民地政策によって危機に晒されていたアジアの状況についても教えるべきである。それに加えて、旧満州国のたった14年程度の歴史において人口が3千万人から5千万人に増えたこと、治安が抜群に良かったこと、共産党が中国を建国する際に手本にしたということ(もっとも手本にしただけで真逆の国家になってしまったが)など、日本の功績も教えるべきだろうと思う。私の受けた歴史教育は、今になって考えてみると、やっぱり公正ではなかったように思う。

 他校にはマトモな歴史の教師がいるのかもしれないが、少なくとも私が受けた歴史教育は、自虐史観に基づいたものだった。日本の歴史教育では、近現代史にあまり時間を割いていない。大戦前の世界はどのような状況であったか、なぜ日本は開戦に踏み切ったのか、また、日本の戦いぶりはアジア各国からどのような評価を受けたのか......そういった大切なこと、言い換えるなら「愛国心」の芽生えとなるようなことは、一切教えられた記憶がない。だから私もしばらくの間、先の大戦は「侵略戦争」だと思っていたし、日本は「アジアに多大な迷惑をかけた」と思っていたのである。
 
侮辱された時の日韓の反応 18、19歳の頃、私は英国にいた。話術は今ひとつだったが、文法だけは良くできるという、典型的な日本人の英語スキルを持ち合わせていたため、現地の語学学校に入学する際の筆記試験において、それなりに優秀な成績を収め、ヨーロッパ人しかいない上級者クラスへと編入された。

 そのため、スイス人やドイツ人とつるむようになり、放課後は街の中心に遊びに行って、カフェで談笑するのが日課になった。しかし流暢な英会話を操る2人についてゆくほどの話術がなかった私は、いつも口数が少なかったように思う。するとある時、唐突にスイス人のほうが「日本人は大人しい。でも何をするかわからない。なんて言ったってカミカゼアタック(神風特攻隊)の国だからな。君たちはあれで戦争に勝てると思ったのか?」と笑った。日本で前述のような歴史教育を受けていた私は、この時はまだ史実などは何も知らず、だから特攻隊においても「敗戦濃厚の日本がヤケクソの作戦を採り若者を無駄死にさせた。そしてその作戦は完全に失敗に終わった」という“デマ”を信じていたように思う。だからこのスイス人の嘲笑に対しても、少しは不快に思ったが、特に反論することはしなかった。しかしである。他日、自国を侮辱された韓国人は、私と真逆の反応を示したのである。

 ある日、学校の廊下の掲示板に世界の言語で「こんにちは」と書かれたポスターが貼り出され、休憩時間にみんなで見ていたことがあった。「HELLO」「GUTENTAG」「BONJOUR」「你好」など、各国の「こんにちは」が羅列されていたのだが、その中に「안녕하세요」とハングルも表記されていた。すると某国の友人が、恐らくハングルを目にするのが初めてだったのだろう。「これはおかしな文字だ」と言い、ハングルを指差したのである。次の瞬間、その場にたまたま居合わせた他のクラスの韓国人の女の子が、烈火の如く怒り始め、彼に対して猛烈に抗議したのである。それを見た私は、彼女がなぜ怒っているのかは理解できたが、なぜ“ここまで”怒っているのかは理解できず、困惑したのであった。

 同じ年齢のごくごく一般的な日本人と韓国人だが、自国を侮辱された時の反応がどうしてこうも違ったのだろうか。私が浅はかな若者であったことは否定しない。しかし、個々が幼少の時から受けてきた教育も理由の一つであるように思えてならない。
 米国による日韓の教科書比較
2010年12月16日付の読売新聞において、米スタンフォード大学アジア太平洋研究センターが行った「日中韓と米国、台湾の高校歴史教科書比較研究プロジェクト」の調査に関する記事が掲載された。調査結果によると、日本の教科書は「戦争を賛美せず、愛国心を煽らず、最も抑制されている。一番公正である」と評価、対する韓国など東アジア諸国の教科書は「歴史教育の基本的役割として民族の自尊心と国民のアイデンティティーの増進を主張している」と評価されたという。

 これに先立って、2009年3月に発売された『SAPIO』(小学館)のインタビューでは、同センター副所長のダニエル・スナイダー氏が、日韓の歴史教科書に対する評価をより明確に述べている。

・日本の教科書について(山川出版社と東京書籍)「今回比較した中では日本の教科書が最も愛国的記述がなく、戦争の賛美などは全くしていない。日本の中国進出についてのくだりは全く事実をそのまま伝えており、当時の軍と政府のリーダーたちの責任だとしている。非常に平板なスタイルでの事実の羅列であり、感情的なものがない(抜粋)」(『SAPIO』2009年3月25日号より)

・韓国の教科書について(国定教科書)「韓国の教科書は特にナショナル・アイデンティティーの意識の形成に強く焦点を当てている。韓国人に起こったことを詳細かつ念入りに記述している。また、中国で起きた戦争に関する記述が希薄だ。日本が中国に行ったことには興味はなく、日本が韓国に行ったことだけに関心がある。私が驚愕したひとつの例は、主要な韓国の教科書には広島と長崎の原爆投下の記述がないことだ。それほどまでに彼らは自己中心的にしか歴史を見ていない(抜粋)」(同号より)スナイダー氏は「日本の中国進出についてのくだりは全く事実をそのまま伝えており(中略)公正である」と言及するなど、所謂“アメリカ史観”の下で日本の教科書を見ているのは気になるし、日本の教育に疑問を抱いている者からすると、「公正」と評価されても困惑してしまう。しかし、韓国の教科書に対する評価は、なかなか的を射ているのではないだろうか。
捏造を記述する韓国の教科書
 韓国の歴史教科書は、とにかく捏造が目立っている。初代大統領である李承晩の下、徹底した反日教育が敷かれたためか、近現代史における記述が特に酷い。曰く「『日帝』が戦争を起こすと、大韓民国臨時政府は日本に宣戦布告をし、連合軍と共に独立戦争を展開。韓国光復軍は中国各地で中国軍と協力して日本軍と戦い、さらにはインドやビルマまで進軍、イギリス軍と共に対日戦闘に参加した」との記述があれば「韓国光復軍は国内で『日帝』を退け、祖国の光復を達成する作戦を計画。出発の命令を待っていたが『日帝』の降伏によって実現されず。しかし祖国の独立と民族の解放を自主的に成し遂げようとする努力を示した」とまで記述しているのである。教科書だけでなく、韓国国内にはこのような(捏造の)功績を称える施設『独立記念館』まで建造し、彼らの“願望”を史実にしようと努めているようだ。また、朝鮮は基本的に属国としての歴史を歩んできたはずだが、教科書にはそれを認める記載が一切ないという。

 どの国にも語りたくない負の歴史はあるものだが、そのすべてを伏せ、自分の都合の好いように歴史を捏造し、それによって自国を誇り、アイデンティティーを確立しているのが、韓国の歴史教育なのである。

 しかしこのような教育姿勢にも、少し変化が見られているようだ。10月1日付の産經新聞において「韓国で高校教科書めぐり『歴史戦争』左右両派の対立激化」という記事が掲載されていた。韓国の『教学社』という出版社が作成した歴史教科書が、検定を通過したことが問題になっているようだ。この教科書は今までの物とは違い、日韓併合を「侵略であった」というようなマイナス面だけで捉えているのではなく「日本支配下でも韓国人の自己啓発で韓国社会が発展したという『植民地近代化論』を取り入れている」というのである。もちろん、韓国国内では批判が集中しているようだが、しかし韓国における教育も、少しだけ変化が見られつつあるのかもしれない。もっとも日韓併合が「植民地政策」であったという前提は一切変わっていないのだが......。
 日本の教育の問題点とこれからの教育
 日本における教育で自虐史観に駆られた左翼教育が行われているのは、前述の私の経験の通りだが、それ以外にも様々な問題がある。

 以前、日本のマスコミの問題点に関する取材で自民党・副幹事長の萩生田光一議員にお話をうかがったことがある。萩生田氏は今まで「教育改正」に熱心に取り組んでこられた政治家であることから、取材に同行した連れが、教育についての質問を投げ掛けた。すると氏は日本の教育の問題点の1つとして、やはり教科書を挙げ、こう語った。

 「現在、私が力を入れているのは偏向教科書の改訂なんです。いわゆる『南京事件』を例に挙げると、Aという教科書では『南京事件があった』と書いてある。しかしBという教科書では『10万人以上の虐殺があった』と書いてあって、Cという教科書では『20万人』、Dでは『30万人』と書いてある。すると子どもたちは、通っている学校が選んだ教科書で勉強しているわけだから、たまたま手にした教科書によって、歴史認識が変わっていしまう。そういったバラバラの記述が教科書の本文に記載されているのはおかしい。『南京事件について中国にある南京博物館ではこう言われている』と書いてあるくらいならまだ良いのですが、Dの教科書のように、南京において『万人の虐殺があったこと』が前提の記述が出てきてしまうのが、今の教科書なんです。だけど教科書を作っている会社に文句を言うと『国が検定で通しているじゃないですか』と言われてしまうんです」

 このような状況では、マトモな歴史教育など受けられるわけがない。それに加えて、戦後の日本の教育現場にも問題がある。昭和21年と22年には、GHQによって「公職追放」が行われ、政治家、軍人、役人など、20万人以上の人が職を追われたという。その結果、完全に“左寄り”の社会が構築された。当然、教育の現場も例外ではない。とても正常とは言えないのである。

 萩生田氏こうも話していた。

 「教育のどこを直せば良いという状況ではなくて、じわじわと腐ってしまっているんですよね。だから“修身”のような戦前行われていた教育を復活させれば良いのかというと、そうではなく、教員の質も上げていかないと......昔は教員の質が高く、加えて日本の価値観や道徳が教育現場の柱であったから、無駄も隙間もない教育だったが、今はそうではない。昔と同じことをやれば良いというわけではありませんが、一つずつ教育を取り戻していかなくてはなりません」教育の大切さを訴え、教育改正を尽力する政治家よりも、街に道路や橋を造った政治家のほうが、次の選挙では有利だという。確かに道路や橋を造るのも大切だ。しかし、日本人が誇りを取り戻すには、何より間違った歴史認識を正す、そのためには教育がまずは大切だろう。

 私は台湾出身の評論家・黄文雄氏が以前話していたことを思い出す。

 「私が日本に来て以来、たくさんの首相を見てきましたが、安倍首相は常に国家のことを念頭に置いていると感じた初めての首相です。今まで日本では選挙や演説で“国”のことを語ると落選していた。とにかくみんなの“暮らし”や“生活”のことを話さないと、当選できなかったんですね。だから小沢一郎さんは『国民の生活が第一』という政党を立ち上げたのでしょう。しかし今夏の参議院選挙では壊滅状態でした。この事実を見ると、日本も変わってきたような気がします」

 民主党政権下で酷い目に遭った日本人の中で、何か大きな変化が起きている。甘い言葉で生活の改善を訴える政党よりも、国家のために動いている政党を国民が選んだという事実を見ると、近いうちに多くの国民が“正しい教育を取り戻すことが日本を取り戻すためには不可欠”であるということに気がつくはずだ。
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