続く 解答は先例にあり]
しかし、皇族が外国の王室に嫁いだ例が一例だけある。
梨本宮守正王(なしもとのみやもりまさ)第一王女、方子(まさこ)女王
が大正9年(1920)に李氏朝鮮最後の王位継承者である李垠(いうん)
(日本名は李王垠(りおうぎん)と結婚した例である。
これは日本が韓国を併合した後に、日韓融和の象徴としての政略結婚で
あったが、二人の仲は睦まじかったと伝えられる。だがこの一例も極めて
異例のことであった。
皇族女子の嫁ぎ先であれば例外が生じる余地はあっても、女性皇太子の
配偶者として釣り合いが取れるとしたら、日本の親王ということになろう
。しかし、女性皇太子と親王の婚姻は近親になるため、避けるべきで
あろうことはいうまでもない。
そして親王不在が理由で女性が皇太子となっているのであれば、
女性皇太子の配偶者となるべき人物は存在しないことになる。
もし女帝が配偶者を見つけられない場合、それは皇位継承が極めて危険な
状況であるといわなければいけない。もし女帝が結婚できない場合、男系
の男子どころか、女子もいなくなってしまうからである。そうなれば、
皇位の男系継承は愚か、皇族が不在になってしまう。
様々な角度から、先人たちが皇位の男系継承にこだわり続けた理由を
説明してきた。しかし、これらは私が思いつく範囲に限ったものであり、
実際はそれ以外にも重要な要素があったかもしれない。浅はかな考察に
終始していると思われるが、お許しいただきたい。
これまで示してきたとおり、我が国の歴史において皇統断絶の危機は三回
訪れた。そして三回とも同じ方法で乗り越え、万世一系を繋いできた。
またその方法は三回とも偶然に一致したのではなく、それぞれ確固とした
信念に基づいて断行されてきたのだ。
「万世一系の天皇」とは男系継承されてきた天皇のことであり、男系継承
の断絶は「皇統の断絶」、そして「王朝の断絶」を意味する。
男系継承は不改常典(かわるまじきつねのり)であり。それは現在に
至っても同じである。近年皇室典範改正の動きがあるが、その答えは
先例にあると断言する。
竹田恒泰著 「皇族たちの真実」より
竹田恒泰著 「皇族たちの真実」より