本当は、この漫画一つの話ではないはずだ。朝日新聞や毎日新聞その他、購読禁止にしたい印刷物は他にもある。なぜ今回、この漫画のみが閲覧規制の対象となったのか、松江市の教育委員会に聞いてみないとわからない。
始めに断っておくが、私はこの漫画を読んだことがないので、内容について意見は言えない。ブロガー諸氏の記事から、天皇を最高の殺人者と呼んだり、当時の女性たちに残虐な行為をする描写が切り取られ、紹介されているのを見ただけである。全何巻あるのか知らないから、そういったごく一部の切り取りのみをもって論じられない。
しかし、まず第一に考えるべきは、小中学生には、「何が真実で何が虚偽か」を識別する能力がまだ備わっていないということだ。大体、日本の教育制度では、学校の言うことを丸暗記して、その通りにテストに回答することが良しとされている。言うまでもなく、本や印刷物の影響力は莫大で、子供は基本的に、本に書いてあれば鵜呑みにしてしまう。学校の図書館においてあるならば、尚更である。フィクションや単なる個人の見解の表意と「史実」の区別の付かない年の子供たちに見せる本は、あらかじめ大人が選択するのは当然だ。
二つ目は、ゲンに批判的な意見を書いた書物や印刷物にも同時に触れさせているか否かである。反論もを同時に読むことができるならまだしもであろうが、おそらく、そのようなことはないだろう。なにせ、この日本という国は、自国を悪く言えば言うほど正しいと思われ、自国を良く言うと、批判されたり、田母神氏の様に要職を首になったりする、誠に自虐的な国だからである。なんでこんなに自信のない骨抜き状態を68年も続けているのかと思ったが、日本の良いところを教え、自信をつけさせるような教育を68年間もしていないからだ。
日曜日の朝、たまたまTBSの「サンデーモーニング」をつけたら、金子という慶大教授が、この閲覧規制により、「子供たちがあの時代に何があったのか知る機会が失われる」と述べていた。べつに、あの漫画だけが唯一無二の情報源ではないのに、下らないことをいう大学教授だ、と思ってすぐテレビを消した。
他のブロガーさんのブログに出ているその数コマを見て思ったのが、大学時代に取っていた、家永三郎教授の「日本史」の授業にそっくりだ、ということだ。同教授は、毎週毎週、日本兵が、支那や半島でいかに残虐の限りを尽くしたか、婦人を凌辱し殺したか、現地の人間の手足を縄でしばり、牛に左右から引かせて一瞬で真っ二つの血の海にして遊んでいたか、とにかくそれを繰り返し学生たちに説いた。まだ10代の若造たちは、有名教授の言うことを鵜呑みにした。大学生くらいまでは、単位を取るため、先生に言われたままを回答し、卒業していく。この書物や新聞はここがおかしい、ガセではないか、と疑えるようになるまでは、案外年月がかかるものだ。
従って、その域に達していない子供たちの読む本は、大人がきちんと選別してやること。それを忘れてはならない。