中国における野中氏の”棚上げ合意”の証言は、中国のシナリオに野中氏が協力したとしか思えない、日本国に対する背信行為でもあります。日本国政府では、”棚上げ論”の蒸し返しを警戒しているようですが、日本国には、揺るぎない領有の根拠があるのですから、動じることはないと思うのです。
ところで、国連の調査結果により、尖閣諸島周辺海域における石油・天然ガスの埋蔵が報告された後、中国は、1971年12月に、中国外交部声明として、尖閣諸島の領有権を主張し始めます。この時の外務省の様子を、実は、親中派で知られる加藤紘一氏が証言しているのです。尖閣諸島問題が先鋭化していない、何年か前のテレビ放送でのことですが、氏は、中国側の声明が日本側に伝えられると、外務省の職場では、早速、職員が地図で尖閣諸島の位置等を確認し、”これはあり得ない。無理すぎる。”と、中国の領土主張に一同驚愕した、と省内の様子を語っています。1895年以来、何らの異議もなく、沖縄返還に際しても、沖縄の一部として施政権が返還されたのですから、中国側の声明は、日本国にとりましては、青天の霹靂であったのでしょう。仮に、当事の日本国政府において、尖閣諸島が係争地として認識されていたならば、このような反応になるはずもありません。
中国寄りの姿勢が兎角に批判されている加藤氏の証言ですので、信憑性には疑いがないわけではありませんが(もっとも、この証言は、中国側には不利…)、本人の実体験ですので、野中証言よりは、信憑性の高い情報かもしれません。中国が都合良く集めた”生き証人”の証言は、眉に唾して聞いた方がよいと思うのです。
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