八重山日報
正念場を迎えた与那国町の自衛隊配備計画。外間町長の「迷惑料」発言とその波紋を追った。(仲新城誠)
▽抗議メール
陸上自衛隊の沿岸監視部隊配備をめぐる用地交渉で、外間守吉町長が3月、防衛省に「迷惑料」10億円を要求した。用地交渉の詳細が報じられた20日ごろから町役場には、全国から続々と抗議のメールが届き始めた。
町によると1週間で約70件。「尖閣が中国の手に落ちれば、与那国で生活することも不可能になる」(千葉県男性)「町の法外な要求は日本国民として憤慨に堪えない」(京都府男性)「今大切なのは、与那国、沖縄、日本を北朝鮮や中国の軍事的脅威から守ることだ」(大阪府男性)―。文面はいずれも町への非難で埋まっていた。
元在沖米国総領事のケビン・メア氏の発言だとされる沖縄の「ゆすり、たかり」の体質。それと町を同一視する全国の視線を感じ、町総務財政課の小嶺長典さん(48)は衝撃を受けた。
「迷惑料という言葉が独り歩きしている」。
小嶺さんは上司と相談し、3月25日、抗議メールすべてに返信を出した。「町の真意を分かってほしい」という思いだった。
防衛省は同5日、町に対し、配備予定地の「南牧場」の町有地について「賃貸なら年間500万円、買収なら1億から1億5000万円」という金額を提示していた。
「20㌶の土地を500万円では、いくら何でも『大山鳴動してねずみ一匹』的な話」
「防衛省側の額でことが進めば、町長は反対派からも賛成はからも失笑されてしまうことは必至。政治生命が終わってしまう」
「沖縄で初めて積極的に自衛隊を誘致し、風穴を開けるという気概を買ってほしい」―。
印刷するとA4の用紙2枚にわたる長文の返信。これに対し、今度は「まさか返事が来るとは思わなかった」「町の熱い思いが分かりました。頑張ってください」などという激励のメールが届き始めた。29日までに約20件に達したという。
(つづく)