市場経済の弱肉強食とは、敗者必滅で敗者は例外なく貧困に喘ぐことを忘れてはなりません。
アラブはイスラム教、イスラエルはユダヤ教、そして、アングロサクソンはキリスト教。これら唯一絶対神は異教徒を迫害する歴史を有しているのです。概ね彼らは「目には目を」で、相手がダウンするまで徹底的にやるのが実情です。
アングロサクソン、特にアメリカ主導の市場経済は唯一絶対神的なゴッド流であり、一神教民族は排他的独善的で、異教徒を徹底的に弾圧したのは歴史が示すところです。テロは断じて許されれるものではないが、中東の現状、アメリカ市場経済の在り様を見ると、流血の歴史を想起せざるを得ない。
どちらの肩を持つわけではないが、地球規模で見られる矛盾、地域紛争、環境悪化、宗教問題抗争などはすべて西洋文明の原理から生み出されている。
このような混沌とした世界情勢の近年、外国人で日本の精神文化に関心を持つ人々が増えています。なかでも神道を高く評価する人が増えていることは、注目に値し、嬉しいものです。
そうした人の一人にスチュアート・ピッケン氏がいます。ピッケン氏は、昭和17年生まれのイギリス人でスコットランドの出身です。氏はかつて英国国教会の牧師でしたが、日本の神道と出会い、その研究に打ちこむようになりました。昭和47年から国際キリスト教大学で25年間教鞭を執られ、名古屋商科大学の教授もされました。
ピッケン氏は、自らの神道観を、次のように述べています。
「第一は、人間と自然とが一つということです。ここでの自然とは大宇宙、大自然というべきかもしれません。西洋では人間と自然が対立し、離れてしまっています。
第二は、お祓(はら)い、お清めです。これが非常に大事です。
キリスト教の場合、罪という観念は、自分が直接犯したものにとどまります。つまり、道徳的に懺悔すれば終りです。しかし神道では人間の生活においては、自分の責任でなくても罪けがれが付くと考えます。たとえば親戚の死や友達の病気に遭うことは自分にもけがれが付くと考え、それらも含めて清めるのが神道です。ですからとても心がきれいになります。
第三は敬神崇祖という『縦むすび』と、他者との共存共栄という『横むすび』とがつながっていることです。キリスト教では神を敬うこと(縦むすび)と、他者と良き関係をむすぶこと(横むすび)とはそれぞれ別に考えます。これに対して、神道では霊性が神に近くなれば、自ずと他者との関係もよくなる。ひとつにつながっているのです」
出羽三山神社の神職養成卒業禊ぎ
こうした氏の神道観は、体験に基づいたものです。古来の神道には、形は異なりますが、上記画像のように、禊(みそぎ)という行があります。ピッケン氏は、滝に打たれる禊を百回以上も行っています。そして、神道の禊と同じものが、
かつては世界に広く行われていたと述べています。
「旧約聖書でもユダヤ人たちは川で禊をやっていますし、スコットランドの古老も最近まで海で禊をやっていました。つまり、古道(こどう、いにしえのみち、Ancient Way)ーー大自然と人間とが一体になる Way ですねーーは、かつては世界中どこにでもあった人間本然のものだったのです。しかし、今日それは世界ではほとんど失われて、日本だけにその Way が神道として残っているのです」
日本の神様は自然崇拝であり、感謝の神であり、本質は森羅万象共存の精神であり、ゴッドと根本的に違います。
また、日本の神様は森羅万象すべてに神を感じて尊敬し、平和的であり、地球に存在するすべて、存在そのものを受容します。この心、すべての存在を敬の対象とする日本の神こそ、人類を、世界、あるいは地球を救済できる究極の原理だと思う。
神道には世界普遍の「古道」が守り継がれている、とピッケン氏は考えているのです。そして、将来の世界の霊性は、日本神道から現われる、と語ります。
「次の千年はどんな時代になるのでしょう。現代文明を作り上げた西洋は三つの要素から成っていました。ユダヤ人宗教の霊性、ローマ帝国の法制度、ギリシャの哲学・科学です。
法制度や科学はそれを引き継ぎ発展させる国はたくさんあるでしょう。しかし次の時代の霊性はどこにあるか。キリスト教、ユダヤ教は疲れ果ててしまい、それを担う力はもうない。
また、ピッケン氏は、「西洋では創造されたものより創造した主を崇める傾向がある」
とも・・
一方、英国のウェールズ地方では、今、太陽神の祭りが復活し、教会の礼拝の傍ら禊をやっている牧師さんもいるという。
今、世界には古道に帰ろうとする気運が起こりつつある。戒律や教義にしばられるのではなく、自然のルーツを発見し、それと一体となることを求めているのです。ですから私は将来の世界の霊性は、神道から出てくると信じます。そしてそれこそが日本の世界への一番の貢献なのです」
私たちは、日本の精神的伝統に目を向け、伝統に基づいた新しい精神文明の創造をめざすべきではないでしょうか。
『親日派のための弁明』の著者、韓国人の金完燮(キムワンソプ)氏も言う。「日本の神道は人類が作り出した最も理想的な形の宗教だ」と。
人間があるべき姿に帰る、古(いにしえ)に帰る・・・・
神道のこころに・・