北朝鮮ミサイル発射 米NORAD、衛星の軌道進入確認
日本政府によると、機体の部品と見られる物体が9時58分ごろ、朝鮮半島の西方約200キロの黄海に、9時59分ごろに朝鮮半島の南西約300キロの東シナ海に、それぞれ落下したと見られるという。
ミサイルはテポドン2を改良した3段式ミサイルとみられ、日本政府によると落下物は、いずれも北朝鮮が事前に予告した海域に落下したという。
「人工衛星打ち上げ」と主張していた北朝鮮は、朝鮮中央通信を通じて「打ち上げに成功し、衛星は予定された軌道に入った」と伝えた。NORADも人工衛星の軌道に乗ったと確認した。
韓国政府はイージス艦を黄海に配置し、航跡の追尾などをした。日本政府もミサイルが予定の軌道から外れて自国に落ちてくる場合に備え、迎撃ミサイルなどを配備して対応にあたっていたが、破壊措置は実施されなかった。
韓国政府は午前10時半から緊急の国家安全保障会議を開き、対応を協議。金星煥(キムソンファン)外交通商相は「国連安保理決議への明白な違反だ。北朝鮮は重い責任をとることになる」との政府声明を発表した。日米韓などは安保理に対し、北朝鮮への制裁措置の水準を引き上げるよう求める方針だ。
北朝鮮が1日に、10日から22日までの間に地球観測衛星「光明星(クァンミョンソン)3」の2号機を運搬ロケット「銀河(ウナ)3」で打ち上げると予告したのに対し、日米韓などは安保理決議に違反するなどとして中止を要求。北朝鮮の友好国である中国やロシアも自制を求めていた。
だが、北朝鮮は「宇宙の平和利用の権利はだれにでもある」と主張。10日に「1段目に技術的な欠陥が見つかった」として予告期間を29日まで延長し、解体して修理する兆候もみられたが、その直後に発射に踏み切った。
北朝鮮は故金日成(キムイルソン)主席生誕100年を前にした4月13日にも、「人工衛星打ち上げ」と称して長距離弾道ミサイルの発射実験をしたが、失敗した。
朝鮮中央通信によると北朝鮮では11日、金総書記の死去1年に際した労働者らの決意集会が平壌で開かれた。死去1年に際した国内行事が伝えられるのは初めてで、一連の行事の開始に合わせた可能性がある。
今後、国際社会が厳しい制裁などに踏み切れば、北朝鮮が反発して3度目の核実験に早期に踏み切る可能性も指摘されている。