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パンチェン・ラマ

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拉致されたパンチェン・ラマ。

S9thpanchen

 パンチェン・ラマをご存知でしょうか。チベットの高僧です。ダライ・ラマがチベット人にとって「太陽」であるのに対してパンチェン・ラマは「月」であり、阿弥陀仏の化身と言われています。

 昭和25年(1950年)より中華人民共和国(中共)はチベット侵略を開始しました。中共はパンチェン・ラマ10世を利用してダライ・ラマ14世との対立構造をつくろうとしました。侵略の開始に先立ち、パンチェン・ラマ10世を利用して「チベット解放」はパンチェン・ラマから毛沢東への要請という形にしたのです。そして中共はパンチェン・ラマ10世を確保し続けました。

 パンチェン・ラマ10世は最初はチベットには改革が必要だと思っていました。ところがダライ・ラマ14世がインドに亡命した2年後の昭和36年(1961年)、中共の国内の視察にいくと、中共はやっていることと言っていることが違うということに気づきます。そして昭和37年(1962年)、パンチェン・ラマ10世は毛沢東に7万言の意見書を提出し、中共政府の政策を批判しました。このため投獄され、80年代まで軟禁状態にされます。

 昭和39年(1964年)、中共はパンチェン・ラマ10世にダライ・ラマ14世を批判させようと企みました。そしてラジオで演説させようとしたところ、パンチェン・ラマ10世は原稿を無視してマイクに向けてこう語ったのです。

「私は一日も早くダライ・ラマ法王が玉座に戻り、そのもとでチベット民族が繁栄することを希望しています。ダライ・ラマ万歳」

 パンチェン・ラマ10世は昭和54年(1979年)に漢民族の女性と結婚し、一女をもうけます。中共は「チベット族と漢族の架け橋」と宣伝します。パンチェン・ラマ10世の派の僧は結婚してはならないことになっていましたから、中共の謀略です。
パンチェン・ラマは恥辱にまみれながらも文化大革命で破壊されたチベットの寺院の再建に力を尽くします。中共はダライ・ラマとパンチェン・ラマの関係を悪化させようと企みますが、昭和60年(1985年)、モンラム祭をラサで祝う集会の席で、パンチェン・ラマはこう語っています。

「ダライ・ラマ法王と私は、精神的な絆で結ばれています。法王と私は一心同体なのです。世の中には私たちを対立させようともくろんでいる人がいるようですが、それは無駄な骨折りです」

 昭和62年(1987年)3月、北京で開かれた全人代チベット自治区常務委員会において、パンチェン・ラマは、教育、経済開発、移住、チベット人への差別待遇などについて、中共政府のチベット政策をあからさまに批判します。
平成元年(1989年)1月24日には、中共によるチベット支配をシガツェで再度非難し「チベットは中共から得た恩恵よりも中共によって失ったもののほうが大きい」と述べます。このときも中共政府が用意した演説原稿を無視して演説したといわれており、この歴史的な反中声明を出してからわずか4日後、パンチェン・ラマ10世は謎の死を遂げました。

 パンチェン・ラマ10世の死後、チベット人僧侶によって平成7年(1995年)に後継者の6歳のニマ少年を探し出し11世を認定します。しかし中共政府は別の少年を転生者として11世としたのです。平成20年(2008年)のチベット騒乱で「愛国的メッセージ」を述べたのは中共の造ったパンチェン・ラマであり、本物のパンチェン・ラマは中共によって両親と共に隔離されています。その生死は現在も不明です。


参考文献
祥伝社「チベット問題を読み解く」大井功(著)
文藝春秋「アジアの試練 チベット解放はなるか」櫻井よし子(編)
『中国に操られた朝日のチベット報道』酒井信彦
扶桑社新書「中国が隠し続けるチベットの真実」ペマ・ギャルポ(著)
参考サイト
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
パンチェン・ラマ10世 http://www.tibethouse.jp/history/panchen_lama.html


添付画像
パンチェン・ラマ9世 1900年(PD)

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チベットにおける中国軍の蛮行

www.youtube.com/watch?v=hTKNENM2WoQ

 

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