第19条 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得
江戸時代は、身分制度が厳しく定められてゐたので、将軍の子は将軍、武士の子は武士、百姓の子は百姓、職人の子は職人、そして商人の子は商人になるものと、それぞれ決められてゐた。それに対して、維新の文明開化を経て、人の能力に応じて努力さへすれば、百姓の子でも総理大臣にまで出世することが可能になった。その裏づけとして、この条文があるのである。これは、江戸時代までの身分制度に決別する爽やかな宣言であった。
しかるに、これに対応する占領憲法の第11条は、権利意識むき出しの、醜悪な代物である。
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
この、天に向って唾を吐く底の言ひ草に比べたら、帝国憲法は如何に国民(臣民)の幸福を願って作られたかが、如実に顕れてゐる。