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[転載]日露戦争から学ぶもの

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歴史学者であり、高知大学名誉教授、新しい歴史教科書をつくる会副会長であります福地惇先生の貴重な小論文を、福地先生から送付して頂き読ませて頂きました。これはぜひ多くの日本人の方に読んで頂きたいと思い、福地惇先生にブログ掲載許可のご確認をさせて頂きましたら快諾して頂きましたので、数回に分けてご紹介したいと思います。
今回は「日露戦争から学ぶもの」です。 明治の先達が明治天皇のもとで、国運をかけて戦い抜いた日露戦争。しかし、その舞台裏にあることはあまり知られておりません。特にこのことはマスコミが一切避けており、その部分に触れるとボツにされてしまうと言います。近代の戦争というものは目に見えない“モノ”で動かされていることを多くの日本人も知るべきです。・・・・・・・
  
日露戦争から学ぶもの
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                                      高知大学名誉教授 福地惇
 
 1.  帝国主義の時代における我が国の位置
 
世界史の中で「近代」と呼ばれる時代は、欧米白人キリスト教の諸強国(列強)が圧倒的な軍事的・政治的・経済的な力量と活動力を以て、有色人種世界の征服を目指した時代である。
列強による無慈悲で思い上った覇権の下に非欧米世界のほとんどが置かれていた時代だった。「文明世界」と言えば白人キリスト教諸国のことであって、他のあらゆる有色人種の宗教や文化や社会は「半文明」とか「未開・野蛮」と見下げられた。この異様な時代を「帝国主義時代」と言うが、現代も明らかにその延長線上にある。この帝国主義の時代に我が日本は如何なる国際的位置にあったか。
明治維新以降の国家・社会の体制大変革は、侵略意欲猛烈な白人帝国主義列強の脅威への対応策であった。先達は、白人列強の植民地支配の餌食にならずに独立主権国家としての名誉ある地位を占めるためには如何したら良いか、それを重大課題とした。国策としての国家・社会・宗教・思潮の改造が、所謂「近代化=欧米化」だが、長く一貫した歴史を持つ我が国なるが故に、それを「復古と維新」と言って、必死に推進したのである。
 
2.   開国から5大強国
 
開国から日清・日露両戦争の勝利を経て欧州大戦までの凡そ有余年で欧米列強と対等の位置(所謂5大強国の一員)に立つまで成長した。それは有色人種の国家としては初めての偉業であり日本民族の栄光であったが、後で思えば手放しで喜べる話ではなかった。
強国建設の努力と急速な成長を白人キリスト教列国側は大きな脅威と受け取った。日本が「文明化」したと喜んだのではなく、脅威と嫌悪を覚えたのである。その指導者層に「黄禍論(イエロー・ペリル)」が台頭したのは、正にその証左であった。
逆の事態も現れた。白人列強の属国や植民地に貶められて呻吟(しんぎん)を余儀なくされていた多くの有色人種に深い感銘と大きな勇気を与えたという現象である。つまり、それなるが故に、白人列強は日本帝国が更に国力・国威を増進して、有色人種「解放」の指導者に成長する可能性を問題視した。そこで、独善性と利己心に満ちた白人列強の指導部は日本帝国を自家薬籠中の弱小国家に引き戻そうとの大戦略を立てたのだ。国際連盟や国際会議を以て「国際化」や「軍縮」という形で、謂わば「日本封じ込め戦略」を推進した。貪欲で狡猾な彼らは、東アジアを「分割して統治」する戦術で、共産ロシアや混乱続きのシナの有力軍閥に対して、「天皇制解体」や「反日・侮日・抗日」の日本攻撃作戦を展開させ、黒船の来襲時代に劣らぬ重大な脅威・外圧が我が国を襲ったのである。
 
3.   日露戦争とは
 
日露戦争とは、20世紀の初頭に満州方面を全面占領していたロシア軍を北満州まで押し戻して、日本と朝鮮半島との安全を確保した戦争であると(左翼以外の)一般には理解されている。だが、これでは表層的な理解の域を超えない。実は、日露戦争は日本とロシアの戦争という2国間の利害・対立問題を遥かに超えた、巨大にして不気味な背景があったのである。
米国大統領セオドア・ルーズベルトが日露講和を斡旋した動機には、満州・シナ大陸への利権拡大の思惑があった。これは、目につく一例で、今の日本の歴史常識は欧米勢力の日露戦争への関与という重大な背景を見落としているのだ。
20世紀に突入した時点で列強を巧みに金融で操る「国際金融財閥」は、愈々(いよいよ)彼ら年来の目標である世界支配運動を本格化した。先ず、せん滅の対象として狙った餌食は安定した「王制国家」、帝政ロシア、帝政ドイツ、帝政オーストリアそして皇室制度の下で急速に国威を増進する日本帝国だった。この、謂わば「闇の世界権力」は、ロシア帝国に対しては満州・朝鮮半島方面へ積極的進攻を誘導しながらも、他方ではロシア帝国解体への国内撹乱工作を展開した。つまり、共産革命勢力=帝政打倒勢力には膨大な運動資金を竊(ひそか)に提供してロシア帝国の破壊工作を進めさせた。一方で、ロシア帝国の南下に脅える小国日本に対しては、日英同盟を成立させ、戦費を融資して、ロシアとの大戦争を誘ったのである。
当時の日本政府は戦争資金の欠乏から財政家高橋是清(当時日銀副総裁、後の蔵相、首相)を欧米主要国に派遣して外債募集の任務に当たらせた。だが、巨大な陸軍帝国ロシアに対して東洋の小新興国家が勝利できようと予想する欧米の軍事専門家は皆無だった。従って、高橋の外債募集は困難を極めたが、そこに偶然を装って戦費融資の話に乗ってきたのが、クーン・レーブ商会のヤコブ・ヘンリー・シフなる国際金融財閥の有力者だった。シフの巨額な対日融資が誘い水になり、外債募集は満額を超えたのである。ロシア帝国のユダヤ人虐待を見かねて対露戦争に立ち上がる日本を支援したと、シフは語ったと、高橋は自伝でシフの民族愛と義侠心を称賛している(『高橋是清自伝』)。だが、国際金融財閥の思惑は、そんな情緒的問題を超えて遥かに壮大だった。クーン・レーブ商会は、欧州の金融大財閥ロスチャイルド家の米国における代理人の位置にいた者で、当時、ドイツやロシア方面の共産過激革命勢力に密かに資金を提供して革命運動を支援していた。帝政ロシア解体大作戦に東洋の新興国日本を一枚噛ませて、金融面で日本をより一層自在に操縦しようとの思惑である。つまり、世界支配を目指す、彼らの一石二鳥を狙った戦略だったということだ。戦後、律儀な日本は融資者に巨額の元本と利息を支払い続けたのだ。要するに、我が国にとっての日露戦争は独立と安全のための必死の自衛戦争だった訳だが、世界史大に視野を広げてみると、世界単一政府を目指す「国際金融財閥」による有力民族国家の操縦と支配、そして最終的には民族国家の解体という壮大な謀略の一環に組み込まれていた戦争だったと言うべきだと、筆者は見ているのである。
 
4.   日露戦争勝利後の日本の苦難の予兆
 
ところで、対露戦争の勝利は日本が急速かつ確実に立派な国家建設を進めていることを実証したわけだ。そこで、日本を利用して支配しようとする勢力は、改めて新興国日本帝国の前進に危惧を抱き、本格的に日本国家の成長と自律的活動を抑圧する方向に舵を取り始めたのである。
金融コントロールを筆頭に、米国政府による対日強硬政策の展開は、満州利権への介入、オレンジ計画の策定開始、ホワイト・フリートの日本寄港、そして太平洋艦隊の編成として早速に実行に移された。他方、ロシア帝国は、敗戦の打撃で政治と社会は混乱し、共産革命への趨勢が増大して、敗戦から12年後のロシア・ボルシェビキ革命へと経過していく。また、シナ大陸では大清帝国が敢え無く解体して共和制国家を目指す民族革命が追求されるが、これが東アジア世界の複雑さと不安定さを増大するのである。
従って、この「戦争と革命」の時代に本質に着目せずして、現代日本史を云々することはできない。国際政治・軍事・経済・社会全体の構造変動の一環に東アジアがあり、日本があるのだから、「国際金融財閥」や米英列強の諸動向を注視しながら、祖国の歴史を考察せずしては、「近代日本の栄光と苦難」の真実は把握できないのである。(日本戦略研究フォーラム季報掲載より)
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歴史を語る上で避けることが出来ないものを福地先生が触れられております。多くの出版社が拒否するために歴史の深層が知られにくいわけです。
さて、小論文にあるヤコブ・ヘンリー・シフ。シフの個人代理人のジョージ・ケナンは日露戦争の陰の主役であったと私は見ています。ジョージ・ケナンは日本への融資の功労者として日本政府から従軍記章、そして皇室から瑞宝章を授与されました。ジョージ・ケナンは日本だけではなくシフの代理人としてロシアの共産主義革命にも資金と武器を持ち込みました。
こうしてみると日露戦争とはロスチャイルドがロシアを経済支配下に置くために日本を誘導して起こしたのだと言えます。その日本は戦争に勝ちましたがロシアから賠償金を獲得できず、シフに金利を払い続けました。このため、「日露戦争で最も利益を得たのはシフ」と言われたのです。
 
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転載元: さくらの花びらの「日本人よ、誇りを持とう」


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